日銀のマイナス金利導入による円安誘導と海外FXへの影響

日銀の限界か?日銀のマイナス金利導入による円安誘導と海外FXへの影響

graphline128 128日銀は2016年1月29日の金融政策決定会合で「マイナス金利」の導入を決定しました。「マイナス金利」は、海外FXをしている方であれば、ECB(欧州中央銀行)や欧州のいくつかの国が行っているため、それほど目新しいものではありませんが、「日銀もついに導入してしまったか。」という諸刃の剣でもあるのです。

今回のマイナス金利導入が海外FXにどういう影響を及ぼすのか?解説していきます。

「マイナス金利」って何?

普通は、銀行にお金を預けると利息が付きます。

今は雀の涙ほどの金利ですが、金利 年率0.1%の銀行に1000万円預ければ、税金前で1万円の利息がつき、1001万円の預金残高になります。

マイナス金利になると

1000万円預けたのに・・・1年後には999万円になって減ってしまうことを意味します。

今回のマイナス金利は銀行の銀行である日銀なので、個人が民間銀行へ預金するケースでは関係ありませんが「あなたは銀行に預金でお金が減っていくということになれば、どう対応するでしょうか?」、多くの方はその資金を別の投資先に運用方法を変更しようと考えるのではないでしょうか。

これと同じことを日銀が行うことになります。

日銀は銀行の銀行であり、銀行は「日銀に当座預金を解説し預金をする」ことで、銀行としてのポートフォリオを組むのです。

そもそも銀行には「受け入れている預金等の一定比率以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付けているので、かならず日銀にお金を預けているのです。

今回のマイナス金利を導入すれば、準備預金を超えた部分の預金に関してマイナス金利が適用されることになるため、銀行としては日銀に預けておくのではなく、「別の投資先に投資しないと損をしてしまう。」ということになります。

「日銀へ預金していたお金が企業融資に回されるのであれば、市場に打回るお金が増えて、インフレになる。」これがマイナス金利のメリットであり、日銀の目論見なのです。

金融政策決定会合で決定されたマイナス金利の内容

  1. 日銀当座預金に-0.1%のマイナス金利を適用
  2. 必要な場合は金利をさらに引き下げる(マイナス幅を拡大する可能性がある)
  3. 欧州(スイスなど)で採用されている階層構造方式を採用
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※「基礎残高」「マクロ加算残高」「政策金利残高」の定義がいまのところ不明

なぜ、マイナス金利が導入されたのか?

最大の理由は「株価の急落」です。

中国経済の失墜・原油高・米国利上げなどの影響によって、リスクオフマーケットが形成され、安全資産とされている円の価値が上がり、円高になってしまっていたからです。

今の株高の状態というのは「経済が良いから株価が高い」のではなく「円安だから輸出企業の業績が上がり、株価が高い」という状況なので、円高は致命的な株安を招くのです。

米ドル/円
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日経平均株価
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と年末から先週にかけては、円高は115円台までと日経平均株価は16,000円台まで急落してしまったのです。

このまま日経平均株価が下がってしまえば、「アベノミクス失敗」となります。2016年7月の参院選への影響もありますし、国民が失望してしまえば、より一層消費への意欲がなくなってしまうため、景気回復はさらに遠のいてしまうという深刻なものなのです。

当然、日銀も、安倍政権も、これを放置することはできず、黒田総裁をフランスでの講演の予定すらキャンセルして帰国させるなどの対応を取り、今回の金融政策にいたったのです。

マイナス金利導入で予測される効果

確実性の高いシナリオ

  1. マイナス金利になる
  2. 日銀の預金が別の投資先に振り分けられる
  3. 外貨と比較して日本円の価値が下がる
  4. 円安になる
  5. 円安になると輸出企業の業績が上がる
  6. 株価が上がる

とここまではかなり固いシナリオと言っていいでしょう。株価が上がると言っても、今まで通りに戻るといった方が適切かもしれませんが、多少は持ち直すことが想定されます。

実際に2014年にマイナス金利を導入しているユーロを見てみると

ECB(欧州中央銀行)が預金金利を2014年6月5日にマイナス金利を導入しています。

  1. ECB(欧州中央銀行) 2014年6月 0.1% マイナス金利導入
  2. ECB(欧州中央銀行) 2014年9月 0.2% マイナス金利拡大
  3. ECB(欧州中央銀行) 2015年1月 量的緩和導入
ユーロ/米ドル
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ときれいにマイナス金利を導入してから、ユーロ安(通貨安)になっているのです。

これと同じ現象が起こることが日本円でも、確実視されていますし、実際に29日は円安が進行しています。

予測が難しいのは、この通貨安(円安)がどこまで進むのか?いつまで持つのか?です。

確実性の低いシナリオ

  1. マイナス金利になる
  2. 日銀の預金が別の投資先に振り分けられる
  3. 企業融資が活発になる
  4. 企業の設備投資が増える
  5. 企業の業績が上がる
  6. 従業員給与が上がる
  7. 消費が活発になる
  8. 景気が良くなる

こちらのシナリオは疑問符がつくことになります。

日銀の預金金利がマイナスになったからと言って、企業融資が活発になるとは思えないのです。まずそもそも企業が融資を受けてまで投資をしたいというモチベーションになっていないことが大きな要因です。人口減少の中で伸びていく市場を見つけられていないとも言い換えられます。

さらに銀行としても、一部の当座預金が-0.1%になってしまったので、収益性は悪化してしまいます。逆にリスクの高い企業融資に及び腰になる可能性すらあるのです。

世界経済のリスクオフによる円高 vs 日銀の円安誘導 の戦い

今回のマイナス金利の導入であきらかになったのは

中国経済の失墜、原油安、中東情勢の緊迫化、米国利上げなど、世界の投資マネーというのは、リスク回避の動きになっているということです。リスクオフマーケットになれば、安全資産として評価の高い日本国債、日本円などに海外投資家のマネーが流れるので、円高になるのです。

しかし、「株安を引き起こす円高になっては困る」という日銀、日本政府の意思が今回はマイナス金利の導入という形として表れているのです。

今回のマイナス金利はあまり影響のない範囲でしか今回は適用されませんでした。また、黒田総裁は今後のマイナス金利幅の拡大、国債買い入れの量的緩和の実行も、含みを持たせています。また、マイナス金利導入発表効果が薄れて円高傾向が高まれば、金融緩和を再び行う可能性も高いのです。

「夏の参院選までは株価を維持したい。」というのが安倍政権の本音なので、選挙を意識した攻防になると考えて良いでしょう。

私見では、夏の選挙までは日銀がカードを使うので円安のまま維持され、それ以降は日銀の交渉カードが尽きてくるため、円高が進むのではないかと予測します。

海外FXでも、日銀の金融緩和は儲けられる大きなチャンスなので、波に乗り遅れないようにアンテナを研ぎ澄ましておきましょう。

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