イギリスのEU離脱騒動はFX・為替相場にどう影響するのか?
イギリスがEU離脱の可否を決定する国民投票を6月23日に行います。日本人なら初めて聞いたという方も多いかと思いますが、FXトレーダーにとっては大きな影響があるトピックスなのでテクニカル中心のトレードスタイルの方も注視しておくべきものです。今回はこのイギリスのEU離脱騒動はFX・為替相場にどう影響するのか?を中心に解説します。
イギリスのEU離脱騒動って何?
EUとは
欧州連動のことで「European Union、略称:EU」と呼ばれています。
加盟国は28か国
フランス、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、チェコ、エストニア、マルタ、ドイツ、ルクセンブルク、ギリシャ、フィンランド、スロバキア、ラトビア、ルーマニア、イタリア、イギリス、スペイン、オーストリア、ハンガリー、リトアニア、ブルガリア、オランダ、アイルランド、ポルトガル、ポーランド、スロベニア、キプロス、クロアチア
- 2010年のEUのGDPは16兆1068億ドル(約1300兆円)
- アメリカのGDPをやや上回る
- 世界全体の約26%を占めている
という巨大な経済圏なのです。
- ユーロという単一通貨
- 安定した食糧確保のための共通農業政策
- 労働者、商品、サービス、資本の移動の自由
などのメリットが加盟国にはある一方で
- 高い失業率
- ドイツ手動の経済政策
など抱えるマイナス面も多くあるのです。
ノルウェーやデンマークなどはこのマイナス面を加味して、過去にEUからの離脱可否を問う国民投票を行っているのです。国民投票の結果は残留となりました。
今回はイギリスでEU離脱騒動が起こり、2016年6月23日に国民投票が行われることになったのです。
「British(英国:イギリス)」+「Exit(離脱)」 = 「Brexit(ブレグジット)」
イギリスとエグジットを文字って「Brexit(ブレグジット)」と呼ばれています。
英国イギリスのEU離脱騒動(ブレグジット)が起きた背景
移民の増加と失業率の悪化
イギリスでは2000年代から積極的に移民の受け入れをすることで、労働力を確保し、低コストによるサービス・商品を生産することで、輸出の強化を行ってきました。移民による低コストの労働力は輸出の競争力の強化につながり、好景気を迎えたのです。
しかし、2008年のリーマン・ショックを契機として世界経済が悪化すると、
- 失業率が悪化する
- 低コストの人件費として移民に職を奪われる
- 移民の社会保障費が増大する。そのために税負担が増える
など国民全体の移民受け入れ政策に対する批判、EU加盟のメリットへの懐疑論が活発化してしまったのです。このことでデモやストライキ、暴動などが増え、国民投票で是非を取る状況に追い込まれたと言えるでしょう。
6月10日(金)に発表された世論調査では、離脱の方が多くなっているのが現状です。
- EU(欧州連合)残留 45%
- EU(欧州連合)離脱 55%
FX・為替相場にはどう影響する?
EU(通貨:ユーロ)に対する影響は?
- EU残留 → ユーロ高(見込み)
- EU離脱 → ユーロ安(見込み)
- イギリスの経済力はEU 2位
- イギリスの出資額はEU 3位(間92億3千万ユーロ)
- イギリスの軍事力はEU トップクラス
です。当然、イギリスのEU離脱が現実のものとなれば
- EUがアメリカやアジアに対する影響力が下がる
- EU全体の予算が少なくなる
- EU全体の政策の規模が縮小される
- EUの全体の経済力が下がる
などの悪影響が懸念されているのです。当然、EUの通貨ユーロにも影響します。
イギリス(通貨:ポンド)に対する影響は?
- EU残留 → ポンド高(見込み)
- EU離脱 → ポンド安(見込み。最悪15%安)
イギリス財務省によると
EU離脱の場合
- 国内総生産(GDP)は残留した場合と比べて2030年までに3.4%から9.5%の低下
- 最悪シナリオでポンドが15%押し下げられる
と予測しています。
- EU加盟国との貿易に関税が発生する
- EU加盟国との人の移動、商品の移動、ライセンスなどビジネスがしにくくなる
- EU加盟国との金融取引にも支障が出る
などのマイナス影響も大きいと考えられています。失業率の改善などのメリットも出てくるともいますが、不確定要素の範囲が大きく「どのくらいポンド安になるのか?」予測できない応対です。
日本(通貨:円)に対する影響は?
円は外国人投資家のリスクオフのための安全資産と考えられています。
今回は、EU離脱の為替への影響がかなり不透明であるため、ドル売り、ユーロ売り、での円買いの動きが国民投票前からかなり顕著になってきます。
6月15日時点のユーロ/円
6月15日時点のポンド/円
ユーロやポンドとは違った意図で円が買われるため、EU離脱、EU残留の結果だけでなく、その前、その後でも、違う動きをする可能性が高いのです。
海外FX業者は事前にレバレッジを制限するなどの動きがある!
- 対処:レバレッジ制限
- 期間:追って報告
不透明な市場の動き からお客様及び当社を保護する観点より、XMは、国民投票の日およびその前後は一時的に全ての金融商品の必要証拠金を引きあげる予定です。 必要証拠金の変更に関する詳細は、日が近くなりましたら改めてメールを差し上げます。
- 対処:レバレッジ制限
- 期間:2016年6月20日(月曜日)~2016年6月24日(金曜日)マーケットクローズまで
特定の通貨ペア(EUR, GBP, CHF, CZK, PLN, HUF, DKK) 並びに全てのCFD商品
→お客様の口座設定レバレッジの5分の1 (400倍の場合は最大80倍、200倍の場合は最大40倍等)
- 対処:レバレッジ制限
- 期間:NY時刻基準6月15日00:00から
レバレッジは2%の証拠金が必要な50:1の設定に変更
- 対処:レバレッジ制限
- 期間:2016年6月20日(月)から6月24日(金)の間
全GBPペアのレバレッジを、2016年6月20日(月)から6月24日(金)の間、一時的に最大100倍*に引き下げさせて頂きます。
ほとんどの海外FX業者では国民投票の期間中(期間前と期間後も含む)はレバレッジを50倍~100倍程度に引き下げるようです。
まとめ
イギリスのEU離脱騒動は
- ユーロ
- ポンド
- 円
- ドル
に対して、かなり大きな影響を及ぼします。
EU離脱の賛成派と反対派が事前調査では拮抗しているため、どちらともいえない不確定要素の多いトピックスと言えます。ボラリティが大きくなることだけが確実としか言いようがないのです。
- 円高が続く可能性が高いと考えて長期スタンスで動くのか?
- 丁半博打のようにポンドを買うのか?
投資家によって判断は様々ですが、チャンスであることは間違いないと考えられます。
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