フランスパリ同時多発テロによるFXへの影響。リスク回避のドル高・円高
2015年11月13日午後9時頃、フランスのパリ郊外で同時多発テロが発生しました。痛ましい事故であることは重々承知しながらも、この同時多発テロは、世界経済に対する影響も大きい事件です。当然、為替相場へ与える影響も軽微ではないため、FXへの影響について解説します。
フランスパリ同時多発テロが発生
2015年11月13日午後9時頃、フランスのパリ郊外サン=ドニの多目的スタジアム・スタッド・ド・フランスでサッカーの国際親善試合「フランス対ドイツ戦」が行われていました。フランスのオランド大統領も観戦していましたが、試合会場の入り口付近や近隣のファストフード店で爆発があり、その後、午後9時30分ごろに、パリ中心部である10区と11区の料理店やバーで爆発、さらにアメリカのロックバンドのイーグルス・オブ・デス・メタルのコンサートが行われていた劇場「バタクラン」で襲撃が起き、現時点では120名以上の方がなくなったと報道されています。
現時点では、IS(イスラム国)の犯行とする説が有力で、犯行声明を出しています。フランス政府は全国に非常事態宣言を出し、国境が閉鎖される、フィギュアスケートの大会が中止になる、など徐々に影響が広がっていっています。
過去のテロ事件と相場の動きを確認
2015年1月7日:シャルリー・エブド事件
2015年1月7日、フランスのパリ11区にある風刺週刊誌を発行している「シャルリー・エブド」本社に、覆面をした複数の武装した犯人が襲撃した事件のことです。
ユーロ/米ドル
事件のときは景気悪化による量的緩和で売られている状況にありましたが、そのままユーロ安が進行した形になります。
2004年3月11日:マドリード列車爆破テロ事件
2004年3月11日にスペインの首都マドリードで起こった爆弾テロ。191人が死亡、2000人以上が負傷した事件のことです。
ユーロ/米ドル
この時は、1ヶ月~2ヶ月はユーロ安が進行し、その後反転する形になっています。
2001年9月11日:アメリカ同時多発テロ
2001年9月11日にアメリカ合衆国内で同時多発的に発生した、旅客機がハイジャックされたテロ事件のことです。
米ドル/円
1ヶ月ほどは、一時的にドル安(円高)に動きましたが、その後、米国経済に対する不安感や不信感よりも、テロへ立ち向かう共通意識が生まれ、逆にドル高(円安)に相場は動きました。
現時点(2015年11月18日)までの為替変動
ユーロ/米ドル
ユーロ/円
米ドル/円
考察
- ユーロ/米ドルの下落(ドル高)
- ユーロ/円の上昇(円高)
- 米ドル/円の上昇(円高)
とわかりやすく、リスク回避のドル高、円高傾向になっています。さらにドルと円では、円の方がリスク回避のウェイトが強くなっているようです。
今後の為替相場の予測
過去のテロ事件の結果から見ても、1ヶ月~2ヶ月ほどは、経済への影響、不安などからユーロ安が進行する可能性が高いのではないでしょうか。
実際にここ数日の推移では、ユーロ安、円高、ドル高、という傾向が顕著になっています。
当然、投資家のリスク回避を受け、比較的安全な資産とされる円が対ドル、対ユーロで買われやすくなり、米ドル/円でも円高が進むことが予測されます。
アメリカ同時多発テロのときは、不安が一服して、アメリカが断固としてテロと戦う姿勢を表明すると、反転してドル高に向かったという実績があります。
フランスやユーロ諸国、アメリカの今後のテロへの対応次第で、1カ月後には反転してユーロ高に動く可能性も大きいのではないでしょうか。
「テロに負けない」という感情は、投資家の相場をも、動かす可能性はあるのです。
ただし、フランスやユーロ諸国、アメリカのテロ対策が後手に回り、同じようなテロが定期的に頻発する状況になれば、ユーロ安の傾向が長引く可能性もあります。
注視すべきは、「各国のテロへの対応」と言えるでしょう。
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