ユーロ/スイスフランの大暴落(急騰)に対する海外FX業者の対応・影響は?
1月15日にスイス国立銀行(SNB)は、スイスフラン高を進ませないための防衛ラインを撤廃しました。この防衛ラインの撤廃が、なんと3800pipsもの為替変動をもたらしたのです。「フラン・ショック」と言われています。
簡単に「フラン・ショック」の概要を説明すると
時計などの輸出企業が経済をささえているスイスでは、フラン高になってしまうと経済に深刻なダメージがあるため、スイス国立銀行(SNB)は
スイスフランの対ユーロレート(ユーロ/スイスフラン)の下限を1ユーロ=1.2000フラン
に設定し、これに近づいたり、大きく割り込んだりする場合には無制限で市場介入を行うことでフラン高を阻止しようという防衛ラインを設定していたのです。
元々、スイスは永世中立国であり、国民1人あたりの金保有高も世界一と安全性の高い国であるため、ヨーロッパ、ユーロ圏の経済が不安定になるほど、フラン高が進んでしまう背景があったのです。
この防衛ラインが急きょ撤廃されたために、フラン高が急速に進行してしまったことになるのです。
なぜ、急な防衛ラインの撤廃が起こったかと言うと、市場介入を繰り返し、膨大なユーロを抱えてからの上限撤廃はユーロ急落でスイス国立銀行(中央銀行)が巨額の含み損を抱えかねないリスクに対する早めの対応という見方が一般的です。
約4000pipsの急変動
3800pipsもの急変動があり、大きく稼いだトレーダーも、大きく損をしたトレーダーもいることになります。
海外FX業者への影響
大きなニュースとしては、英国が拠点のアルパリは16日、資金繰りに行き詰まり経営破綻しました。日本法人アルパリジャパンに対し資産が流出しないよう国内保有命令を出すなどの対応を金融庁が行っています。
とはいえ、日本人が行うFXトレードでのスイスフランの存在感というのは非常に少なく、もっとも人気のない通貨と言っていいでしょう。金融先物取引業協会による昨年11月の店頭FXの取引金額は全通貨ペアの合計で576兆円ですが、その中でスイスフラン・円は3430億円と0.1%に満たないのです。
結果、当サイトで紹介している海外FX業者は日本人を主要顧客に設定しているところが多く、確認できた海外FX業者の公式なリリースでは影響がないと回答しているところが多いようです。ただし、一時的に取引を停止している海外FX業者もあります。やはり影響が大きいのは、ヨーロッパの顧客を多く抱えている世界的規模の海外FX業者と言えるでしょう。
XM公式リリース
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重要なお知らせ
昨日のスイス国立銀行 によるEUR/CHF の上限撤廃の決定の結果、XM には影響がないことを弊社のお客様に保証致します。今回の件における弊社のビジネスへの総括的な影響は取るに足りないものであります。
EUR/CHFに関する最新情報やマーケットコメントは、XMインベストメントリサーチデスクのチーフエコノミストであるミハリス・フロレンティアディスによって提供されます。
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当社は、この度のEURCHF通貨ペアの異例な値動き等の混乱時には、特にお客様に対する当社の忠誠心の現れとして、こちらのマイナス残高の自動的な保護を継続していく所存です。
先週中にマイナス口座残高が発生した全てのお客様は、当社の評判と強みへのお約束を果たす為に、マイナス残高が起こりうる他のケース同様に、それらのマイナス残高は既にリセットされています。
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FxPro公式リリース日本語訳
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今日CHF(スイスフラン)の通貨ペア間で見られる前例のない市場の状況により、 FxProは、全てのCHFペアで取引を一時停止することを決定しました。我々はすべてのFxProはクライアントの利益を保護するために、この決定をしました。
市場が安定した状況に戻った場合に一度これらのCHF(スイスフラン)の通貨ペアの価格設定が再開されます。あなたが開いているポジションをクローズしたい場合はディーリングデスクに連絡してください。
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FxPro 重要なお知らせ – お客様とのお約束に何ら変更はございません。
弊社運用口座をご利用のお客様に対してマイナス残高の保護を提供させて頂いておりますが、今回のスイスフランを取り巻くマーケットにおいて発生しておりました、個人投資家における口座のマイナス残高表示は、全て手動にてゼロバランスへ調整作業を進めさせて頂きました。
現在、全ての作業が完了しておりますのでご確認をお願い致します。
投資家の運用資金は、従来通り、弊社FxProの会社資本並びに運営資金、金融規制機関制定に基づく最低積立残高を満たす為の資金とは完全分別管理保管となっておりますのでご案内申し上げます。
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どちらの海外FX業者も、
- 経営には問題はないこと=顧客の取引には問題がないこと
- マイナス残高になっても、マイナス分は海外FX業者が負担すること(証拠金以上の損がないこと)
をリリースで告知しています。
FxProの場合は、上記に加えて、落ち着くまではスイスフランの取引を一時停止することも付け加えられているようです。
ほとんどの海外FX業者は上記と同じような対応を取っているのです。
アルバリの経営破綻のニュースで、日本国内のFX業者も含めて、大丈夫なのか?不安になった方も多いかと思いますが、多くのFX業者では問題はなく取引が可能になっています。
当面は「フランショック」の影響もあり、他の通貨でも不安定な相場が続くことが予測されます。テクニカル分析でのトレードを主体としている方は、ボラリティが大きくなるため稼ぎやすい相場になったという見方もできるのではないでしょうか。
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