国内FXは法人顧客もレバレッジ規制の対象に。2017年導入予定
2016年4月13日の日経新聞の記事によると金融庁は2017年にも金融商品取引法(金商法)の改正し、現状レバレッジ規制の対象外である法人にもレバレッジ規制を適用されることを予定しているとのことです。法人のレバレッジ規制の導入の背景を解説します。
国内FXの現在(2016年4月)のレバレッジ規制の状態
- 個人投資家:最大25倍
- 法人投資家:レバレッジ規制対象外(金融庁調査では25倍~400倍に設定されていたとのこと)
となっています。
ある程度高額のトレードをしていた個人投資家は、2010年のレバレッジ規制導入を機に投資用の法人を作り、レバレッジ規制を回避しているケースも多く、「法人設立でレバレッジ規制を回避する」書籍も多く出回っています。
しかし、今回金融庁は、この法人投資に関してもメスを入れようとしているのです。
法人によるレバレッジ規制のきっかけ
きっかけはスイスフランショックです。
というのも、金融庁の2015年7月に発表されたレポートでは
- 個人投資家:19億4800万円(1,137件)
- 法人投資家:14億4000万円(92件) 1社あたり1,565万円
という状況を問題視しています。
国内FX業者21社の調査レポートで
「レバレッジが高いほど未収金発生リスクが高いことから、取引上限額の設定や、未収金発生リスクのモニタリングを実施している先がみられたものの、信用リスクを勘案してレバレッジを設定する先はみられなかった。 」
→ スイスフランショックを例に挙げて、未収金発生を問題視している。
「法人顧客に対するレバレッジの設定において、例えば、自社や法人顧客が許容できるリスクを勘案する、過去の相場変動を勘案する、もしくは個人顧客と同水準とするなど、相応のリスク管理の検討が求められる。当庁では、このような課題も踏まえ、引き続き FX業者との建設的な対話を通じ、リスク管理態勢の強化を促していく。」
→ 法人顧客に対するレバレッジ規制を示唆している。
のです。
金融庁は、監督しているFX業者の保護と投資家の保護を行う解決策が「法人レバレッジ規制」と考えているようです。
- FX業者にとって「未収金の発生」はそのまま損失になるので回避した方が良い
- 法人投資家にとって「ハイレバレッジトレード」は相場の急変動時に高額な追証を発生させ、経営破たんしてしまう
だから、「法人顧客に対するレバレッジ規制を導入します。」
ということなのです。
本来、海外FX業者のように国内FX業者が「追証なし」「カバー率100%」にしてくれれば、レバレッジが高かくても、投資家のリスクは軽減できるのですが、これでは国内FX業者の儲けが減ってしまうのです。
どちらも建てようとした結果の妥協ラインが「法人レバレッジ規制」という判断になってしまうのです。
法人レバレッジ規制の内容
- 「過去の相場の変動を踏まえ、通貨ごとに倍率の上限を決める。」
- 「2017年の金融証券取引法の改正を適用させる。」
ということのみしか決まっていないようです。
ただし、2015年の金融庁のレポートでは
- 「個人顧客と同水準とする」
とも書かれているので
個人と同じ、最大25倍というラインが基準となり、通貨ペアごとにボラリティの過去実績を見て、調整をするということになるかと思います。
ハイレバレッジトレードを前提としてトレードをしている投資家にとっては、法人化という逃げ道がなくなってしまうことになります。
ハイレバレッジトレードをするためには「海外FX業者」を使うという選択肢か取れなくなってしまうようです。
今後の動向に注視しましょう。
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