海外FXと国内FXはレバレッジの違いだけではないのです。他にもいくつか大きな違いがあり、意外と知られていないのでが海外FXではNDD取引、国内FXではOTC取引が採用されていることです。
NDD取引、OTC取引と聞いても一体何のことなのか、疑問に思いますよね。普段はなかなかNDD取引やOTC取引について知る機会はないものです。
海外FXの情報を調べていると、このNDD取引という言葉をよく目にすると思います。実は、NDD取引かOTC取引かによって、トレードにも大きな影響を与える可能性があるのです。
海外FXと国内FXの違い
海外FXと国内FXは、為替取引をして利益を得る、といった大まかな流れは全く同じです。
- FX口座を開設
- 入金する
- 取引する
- 出金する
国内で知名度が高い海外FX業者の多くは、日本語サイト、日本語サポートを万全に用意していますので、日本語しかわからなくても国内FX業者のように利用できます。
そこで、海外FXと国内FXは何が違うのかを一覧で簡単に見ておきましょう。
海外FX | 国内FX | |
---|---|---|
レバレッジ | 400~500倍、業者によっては1000倍~3000倍 | 個人口座は最大で25倍まで、法人口座でも50倍程度 |
スプレッド | 米ドル円/平均0.8~1.0pips | 米ドル円/平均0.3~0.5pips |
取引ツール | MT4、MT5が主流 | 自社開発の取引ツール |
システムトレード | MT4、MT5で利用可能 | システムトレードを取り扱う業者にて可能 |
ロスカットと追証 | 追証なしのゼロカット | ロスカットで追証あり |
サービスの言語 | 日本語用サイトがある、一部英語の場合もある | 100%日本語 |
日本語サポート | 日本人が対応する業者も多い | 100%日本人、日本語にて対応 |
入出金方法 | クレジットカード、国際決済サービス、海外送金 | 提携銀行口座を使った銀行振り込み |
入出金手数料 | 無料、海外送金は3,000円程度 | 無料 |
信託保全 | 信託保全を採用する業者は少ない | 信託保全が義務づけられている |
金融ライセンス | 業者の拠点による、法人登録のみの場合もある | 日本の金融庁の認可が義務づけられている |
税金 | 雑所得、総合課税、累進課税5~45%(+住民税10%) | 雑所得、分離課税20.315%(住民税込み) |
ボーナス・キャンペーン | ボーナス・キャンペーンが充実・多い | キャンペーン適用のハードルが高い傾向にある |
業者の取引方法 | NDD取引 | OCT取引(DD取引) |
大まかに見ただけでも、以上のようにレバレッジだけでなくサービスの詳細や使い勝手が海外FXと国内FXでは大きく異なってきます。
海外FXと国内FXはどちらがおすすめ?
海外FXと国内FXのどちらの方がおすすめなのかは、投資家それぞれの視点やトレードスタイル、経験などによって変わってきます。
どちらがよいのか決めるポイント
海外FXか国内FXかを決めるポイントをいくつか挙げておきましょう。
- 安全性を重視するなら → 日本の金融庁の管轄にある国内FX
- レバレッジを重視するなら → 数百倍のレバレッジがかけれる海外FX
- 取引ツールの性能で選ぶなら → MT4が使える海外FX
- 使いやすい取引ツールで選ぶなら → 使いやすさで選べる国内FX
- 日本語サポートで選ぶなら → 100%日本語対応の国内FX
などと・・・
投資家それぞれで、何を重視したいのかによって海外FXがおすすめな場合と国内FXがおすすめな場合とがあります。
取引方法で比較してみる
ここで、見落としがちな比較ポイントとして挙げておきたいのが、今回の記事のテーマとなるFX業者の取引方法です。
海外FXと国内FXを取引方法の違いで見てみるのも、1つの選択肢になります。
- 海外FX → NDD取引
- 国内FX → OTC取引
というように、海外FXと国内FXでは採用している取引方法が異なるのです。しかし、FX業者が採用している取引方法といわれても、何だかピンとこない方が多いでしょう。
海外FXのNDD取引とは
海外FXではNDD取引という取引方法が採用されています。
NDD取引とは
インターバンク市場とは
インターバンク市場とは
インターバンク市場は、「銀行間取引市場」とも呼ばれている市場のことで、為替市場は金融機関同士が行う取引によって相場が変動していることになります。インターバンク市場にて取引される売買値がいわゆる為替レートのことです。
個人の投資家・トレーダーは、FX業者を介することで為替取引が行える仕組みになっています。
直接インターバンク市場で取引できる
NDD取引を採用しているFX業者の場合、インターバンクに直結できる取引ツール・サーバーが提供されています。
インターバンクに直結できる取引ツールの代表的なものが、MT4、MT5などです。
海外FXでは、一般的にNDD取引が採用されているため、個人でも海外FX業者が提供している取引ツール(MT4、MT5)を使って直接インターバンク市場で取引ができるようになるのです。
つまり・・・
海外FX業者は、インターバンク市場に入るためのチケットを顧客に提供しているようなイメージです。海外FX業者で口座開設することで、その海外FX業者のネットワークにて各自で注文が行えるわけです。
海外FX業者は取引に介入できない
NDD取引では、投資家とインターバンク市場が直接つながっているため、海外FX業者は個人とインターバンク市場の間に入ることはできません。
投資家が出した注文は、海外FX業者のサーバーを介して、インターバンク市場へと直接流れる仕組みになっているのです。
海外FX業者はどうやって稼いでいる?
海外FXでも基本的にFX取引には手数料はかかりません。一般の口座は無料で開設できますし、取引ツールも無料です。
では、海外FX業者はどうやって利益を得ているのでしょうか。海外FX業者もビジネスでFXサービスを提供しているわけですから、利益がなければ会社は成り立たないですよね。
スプレッドを手数料にしている
NDD取引の海外FXでは、投資家はインターバンク市場にて直接売買が可能で、公正な取引が行えますが、実はスプレッドが海外FX業者の収入源となっているのです。
ですから、海外FXのスプレッドは比較的に広めです。スプレッド=取引手数料と見なすことができるでしょう。
有料のサービスも提供している
また、口座の種類や情報配信、分析ツール、自動売買プログラムなどで有料のサービスを提供している海外FX業者も少なくありません。
スプレッドにプラス、有料のサービスを顧客に使ってもらうことで利益を得ているのです。
取引回数、取引量が多いほど海外FX業者は稼げる
スプレッドによって利益を得ている海外FX業者にとって、顧客の取引回数や取引量が多いほど会社の利益になります。
基本的に、投資家には勝ってもらって、どんどん取引回数や取引量を増やしてほしいというのが海外FX会社の目指すところになります。
投資家の利益と海外FX会社の利益は比例しているのです。
NDD取引だから海外FXを選ぶ投資家も多い
海外FXはハイレバレッジが最大の魅力となっていますが、投資家の中には、NDD取引だから海外FXを選ぶ方も少なくないのです。
NDD取引では、業者は顧客とインターバンク市場の取引に関与することができません。これは、業者がシステムを不正操作できないことを意味しています。
国内FXのOTC取引とは
国内FXでは、OTC取引(DD取引)という取引方法が採用されています。
OTC取引(DD取引)とは
OTC取引の仕組みは、インターバンク市場と顧客の間にFX業者が介入することになります。
顧客はFX業者に注文 → FX業者は顧客の代わりに注文 → インターバンク市場にてFX業者が売買
といった関係が成り立ちます。
FX業者に注文を入れるとは
おそらく、聞いてみて始めて知ったという方も多いと思うのですが、国内FXにて投資家が売買しているのは、為替市場(インターバンク市場)ではなく、FX業者なのです。
例えば・・・
NDD取引では海外FX業者の取引ツールにて1ドル/100円の買い注文を出したとすれば、それは為替市場(インターバンク市場)から1ドル/100円で購入することになります。
しかし、OTC取引である国内FXの場合は、FX業者の窓口に1ドル/100円で購入して下さい、と注文を入れているに過ぎないのです。
呑み取引にて注文を操作している
OTC取引では、FX業者に注文を入れてたとしても、FX業者はすべての注文を注文通りに売買するわけではありません。
OTC取引のように、実際に市場では売買せずにFX業者内で注文を決済することを「呑み取引」といいます。
呑み取引のわかりやすい例
この呑み取引は競馬業界などでもよく使われている取引方法になります。
FX業者は顧客からの注文を2つの方法で処理します。
- 予測が外れると判断した注文 → 呑み取引
- 予測が当たると判断した注文 → カバー取引(市場にて売買)
国内FX業者はどうやって稼いでいる?
OTC取引が主流となる国内FX業者は、呑み取引を行うことによって、顧客が損をすればするほど稼げる仕組みになっています。逆に、顧客が儲ければ儲けるほど、損をしてしまうわけです。
顧客が損をすれば儲かる仕組みがOTC取引にあるのであれば、単純に考えれば、国内のFX業者はもしかしたら、顧客が損しやすいようにシステムなどを操作しているかもしれない、という疑惑が生じてしまうのです。
不正操作の可能性
あくまでも、疑惑の段階ではあるのですが国内FX業者の場合、以下のような不正行為の可能性があるのではないかと論じられています。
- 顧客から預かった資金を元手に自社でトレードして稼ぐ
- 有利な約定をあえて拒否する → 約定拒否
- 有利な約定をあえて遅らせる → スリッページ
- 為替レートの操作をしてロスカットを発生させる
仮に、国内FX業者に悪意はなかったとしても、「呑み取引」か「カバー取引」かの判断に一定の時間がかかるため、約定拒否やスリッページが頻繁に起こりやすいといわれています。
国内FXのOTC取引にもメリットはある
思わず国内FX業者に不信感を抱いてしまいそうなOTC取引ですが、OTC取引にもメリットがあるのです。
OTC取引ではスプレッドが狭いFX業者が多い
OTC取引の場合、スプレッドで稼がなくても、呑み取引など他に稼ぐ方法があるわけです。ですから、OTC取引を採用する国内FXは海外FXに比べるとスプレッドが狭いのが特徴です。
スプレッドの狭さを売りにして人気を集めている国内FX業者も多いようです。
スプレッドが狭ければそれだけ、コストが抑えられることになりますので、OTC取引のデメリットを知りつつも国内FX業者が選ぶ投資家も結構いるのです。
FX業者を取引方法で選ぶポイント
結局のところ、海外FXがいいのか、国内FXがいいのかは投資家それぞれの視点によって変わってきます。
NDD取引とOTC取引を選ぶポイント
NDD取引の海外FXを選ぶポイント
スプレッドの狭さよりも約定力の高さを重視するなら、NDD取引の海外FXの方がおすすめです。FX業者を仲介せずに直接市場にて取引ができるため、一定の約定力が確保できます。
ただ、海外FXのサーバーの拠点は大抵ニューヨークやロンドンにあります。日本の投資家が取引する場合、地理的遅延が発生するため多少のズレは避けることができません。
完全に約定力を高くしたい場合は、海外FXのVPSサーバーの利用するとよいでしょう。海外FX業者によっては、条件を満たせば無料でVPSサーバーの利用が可能です。
OTC取引の国内FXを選ぶポイント
とにかくスプレッドの狭さを重視したい方は、OTC取引の国内FXの方がおすすめでしょう。OTC取引は確かに不透明な部分があることは否めませんが、世界最狭レベルにて取引ができるのは事実です。
呑み取引が気になる方もいるでしょうが、要は予想があたって勝てばいいわけですから、多少の為替変動に左右されずに確実に利益を得ていけばいいわけです。
仮に、実際に不正操作を行っている国内FX業者があるとしても、目に見えて分かるような悪質な不正を行うことは不可能です。むしろ、FX業者の思うつぼにはまって稼がせてやるものかと、勝てるきっかけになるかもしれません。
まとめ
おそらく、今回初めてFX業者の取引方法・注文処理方法に違いがあることを知った方も多いのではないでしょうか。
NDD取引は、顧客がインターバンク市場にて直接売買できるのが特徴で、FX業者は取引には介入できない仕組みになっています。市場の動きが反映されるためスプレッドは広くなる傾向にありますが、約定拒否などの操作が不可能ですので約定力が高くなるのが特徴です。
OTC取引は、顧客からFX業者が注文を受けて、FX業者がインターバンク市場にて取引を行う方法です。呑み取引や約定拒否などの不透明さが残りますが、基本的にスプレッドにて利益を得ていないので、スプレッドが狭くできるのが大きな特徴です。