海外FXの法人口座の開設方法と法人口座を開設するメリットデメリット

海外FXの法人口座を開設しようかと悩まれている方は意外と多いようです。法人化を検討する理由の1つになっているのが海外FXの税金です。海外FXの税金は累進課税となるため、稼げば稼ぐほど税率が高くなることがネックとなっています。

そこで、海外FXの法人口座なら法人税となるため税率が抑えられるだけでなく、経費の幅が拡がるなどの節税効果があります。

一定以上の利益を得るようになると、どこかのタイミングで法人へと切り替えた方が良いかもしれません。ただし、法人口座にもメリット・デメリットとあるため、それぞれの状況に応じて検討していく必要があります。

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今回は海外FXの法人口座を開設するメリット・デメリット法人口座の開設方法などを詳しく解説していきます。ぜひ参考にして下さい。

海外FXの法人口座とは?

海外FXでも国内FXのように法人口座と個人口座と選択できます。

国内FXでは、法人口座にすることで最大レバレッジが大きくなることがメリットになっていますが、海外FXではどちらの口座でもハイレバレッジで取引可能です。海外FXの場合、個人口座と法人口座の大きな違いは税制です。

海外FXにおいて法人化を検討するほとんどの方が節税を理由に挙げています。海外FXの法人口座とは、個人口座とどのように異なるのでしょうか。

海外FX 法人口座の特徴

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まずは、海外FXの法人口座の特徴を解説していきます。

レバレッジ・取引条件

海外FXの法人口座でも、個人口座と同様にハイレバレッジがかけれます。取引条件などは、法人も個人も基本的に同じです。

ただし、XMなど一部の海外FXでは法人口座がないので海外FX口座の選択肢が若干狭くなってしまいます。

法人税が適用される

海外FXの法人口座の最も大きな特徴は税金が法人税で課されることです。

法人税は海外FXを含めた事業所得の総額に対して、15.0~23.2%の法人税が課されます。法人税に加えて、法人住民税(都道府県民税/市区町村税)がかかります。

法人税は資本金1憶円以下の場合、

  • 年間の事業所得が800万円以下 → 税率15.0%
  • 年間の事業所得が800万円以上 → 税率23.2%

のいずれかの税率が課され、最大で税率は23.2%までとなるので稼ぐほどに節税効果が高くなります。

※法人税は会社設立の年度によって適用される税率が異なります。

参照:法人税の税率 – 国税庁

法人住民税

法人住民税は、事業所得が赤字の場合でも支払う必要があります。法人住民税の税率は地域によって異なり、2つの計算方法があります。

  • 均等割額 → 資本金や従業員の数に応じて課税
  • 法人税割額 → 法人税額に応じて課税

各自治体によって法人住民税の規定は異なりますが、資本金が1憶円以下、法人税が1,000万円以下の場合だと法人税額割にて税率7.0%が課されるケースが多いです。赤字だった場合は均等割額にて計算され最低でも7万円がかかります。

  • 都道府県民税 → 1.0%
  • 市区町村民税 → 6.0%

入出金方法

入出金方法は法人口座の場合、法人名義のクレジットカードや銀行口座を使う必要があります。

法人名義以外の個人名義でのクレジットカードや銀行口座などは利用できませんので注意しましょう。

海外FX 個人口座との違い

海外FXの個人口座では、累進課税による所得税(雑所得)が課されます。累進課税の場合、給与所得やその他雑所得などの所得総額に応じて税率が5%~45%が課されます。

※プラス住民税が10.0%かかります。

個人の所得税 税率
個人の所得税 税率

出典:所得税の税率 – 国税庁

稼げば稼ぐほど、累進課税によって税率がどんどん高くなることが海外FX個人口座のデメリットです。

サラリーマンなどである程度の年収がある場合だと、海外FXの所得との合計が400万円~500万円程度になる方は多いですよね。その場合の税率は20.0%にプラス住民税が10.0%かかりますので、合計で30.0%の税金を支払うことになります。(控除額がありますが)

所得額が695万円を超えると所得税の税率は23.0%。900万円以上になると一気に33.0%。最大で45.0%まで税率は上がりますので、住民税と合わせれば55.0%となり所得の半分以上が税金でとられることになります。

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この税金の高さが海外FXの致命的なデメリットとなっていて、いっそのこと法人化した方がいいのでは?と検討する投資家が増えているのです。海外FXの個人口座と法人口座は、ほとんど同じ条件で利用できますが税制が大きく異なることが注目ポイントになっています。
国内FX 個人口座の税金

ちなみに国内FXの個人口座の税金は、分離課税の雑所得となり一律で20.315%の税率(住民税込み)で課税されます。どれだけ利益を得ても一律の税率なので、稼ぐほど節税効果は高くなります。

海外FXの利益や所得が330万円以下の場合、累進課税の税率は5.0~10.0%と低いため、国内FXよりも海外FXの方が税金は安くなります。

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海外FX 個人口座の税金について、こちらの記事で詳しく解説しています。合わせて参考にして下さい。

国内FX 法人口座との違い

国内FXの法人口座との違いはレバレッジです。税金に関しては海外FXの法人口座も国内FXの法人口座も同じ法人税が適用されます。

国内FXの法人口座は国内FXの個人口座に比べると最大レバレッジが高くなることが大きなメリットになっています。

国内FXの個人口座はレバレッジ規制にて最大25倍で統一されています。国内FXでも法人口座なら最大レバレッジが25倍以上でかけれます。法人口座の場合は通貨ペアごとに規定が異なり、最大レバレッジ50~70倍程度です。しかし、海外FXのレバレッジのレベルからいけば微々たるレバレッジだといえます。

海外FXの法人口座を個人口座や国内FXと比較

海外FXの法人口座と、海外FXの個人口座、国内FXの個人口座・法人口座をレバレッジ・税金で比較すると以下のようになります。

口座比較 最大レバレッジ 税金 税率
海外FX 法人口座 500倍~1000倍 法人税 15.0~23.2%
海外FX 個人口座 500倍~1000倍 所得税(累進課税) 5.0~45.0%
国内FX 法人口座 50倍~70倍 法人税 15.0~23.2%
国内FX 個人口座 25倍 所得税(分離課税) 20.315%
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海外FXの法人口座をひとことでまとめると、ハイレバレッジで取引しつつも支払う税金を低めに抑えることが可能だということです。ただし、少額の場合はむしろ個人口座の方が節税効果が高かったり、法人化にあたってそれなりに費用がかかったりなど、すべての人にとって法人口座の方がよいとはいえない側面があります。

海外FX 法人口座のメリット・デメリットをしっかり確認した上で判断していきましょう。

海外FX 法人口座のメリット

海外FX 法人口座のメリット

では、海外FX 法人口座のメリットを3つご紹介していきます。

1.節税効果が高い

海外FXの法人口座を開設する一番のメリットは高い節税効果が期待できることです。

個人口座の場合は累進課税で税金が課されるため、総所得額に応じて5%~45%まで税率は上がる仕組みになっています。海外FXで得た利益と給与所得などの所得と合わせた総所得額が330万円を超えると税率は20%、住民税と合わせるとすでに30%です。海外FXの利益が増えるにつれて税金の負担が重くなっていきます。

法人税なら800万円以下は15%に抑えることができます。仮に大きく稼げたとして1,000万円を超えた場合でも最大で23.2%しかかかりません。

一定額以上の利益が安定して出せるようになったら、どこかのタイミングで法人化を検討した方が手元に残るお金が増やせます。
税率が低くなるだけでなく、他にも税制面でのメリットがいくつかあります。

FX以外の事業所得と損益通算が可能

給与所得以外で海外FX以外の所得がある方は、その他の所得と海外FXの所得を損益通算することが可能です。

例えば、アフィリエイト広告やネット通販などの所得とまとめて合算できますので、海外FXで損益が出た場合やその他の事業で損益が出た場合などに課税額を抑えることが可能になります。

損失の10年間繰越が可能

海外FXの個人口座では損失の繰越はできませんが、法人口座なら10年間繰越が可能になります。

赤字が発生した1年目に損失額を申告しておけば、翌年以降の所得から赤字分を相殺できます。10年間繰り越せるので、毎年の節税に役立ちます。

家族に役員報酬が払える

法人口座にすれば、本人が海外FXの利益から役員報酬を受け取れることに加えて、家族にも役員報酬を支払うことができます。

本人の役員報酬が高くなりすぎると、個人の所得税が高くなります。そこで、家族に役員報酬を支払うことで1人あたりの役員報酬額を抑え、節税につながります。

経費の幅が拡がる

法人税では経費にできる幅が個人の所得税よりも拡がることが大きなメリットになります。

法人税の対象はFXだけではありませんので、事業全体で経費を計上していけます。家賃や光熱費、PC、ガソリン代や各種保険、交際費や被服費など、事業にかかわる費用をすべて経費として計上できます。経費が増えることで課税額を抑えていけます。

2.社会的信用が向上する

海外FXの法人口座を開設するということは、会社を設立して法人登録を行うということです。

法人として海外FXなどの投資に取り組むことによって、明らかに個人のトレーダーよりは社会的信用が向上します。どんなに安定して稼いでいるトレーダーだとしても、個人事業者と法人では肩書や地位のイメージが大きく異なります。

法人化にて会社を設立すれば、個人投資家から一気に代表取締役へとアップグレードします。いざ金融機関から融資を受けたい時でも、法人であれば審査にも通りやすくなります。たとえ、本人のみの会社だったとしても個人トレーダーよりは法人の方が信用度は高いといえるのです。

3.投資事業へのモチベーションが高まる

また、法人設立することで投資事業に対するモチベーションが高まります。

法人という名のもとに、海外FXメディアサイトを立ち上げたり、FXセミナーを開催したり、有料メルマガ配信サービスを開始したりと事業が展開しやすくなります。サービスを提供する際にも個人名ではなく法人名で提供できることで説得力が増します。

単にトレーダーとしてではなく、投資事業に携わる者として海外FXに取り組む姿勢が変わってくることが法人化のもう1つのメリットです。

海外FX 法人口座のデメリット

海外FX 法人口座のデメリット

海外FXの法人口座を開設するデメリットも大きく3つありますので、確認しておきましょう。

1.法人設立に費用・手間がかかる

海外FXの法人口座を利用するためには、いうまでもなく、まずは法人設立をしなければなりません。

法人を設立するにあたって、準備に多くの時間、費用、手間がかかることが法人化の最大のデメリットだといえます。法人登記だけでも、各種書類を用意したり登録免許税などの費用がかかります。株式会社の場合で登録免許税が印紙代として15万円程度。書類の印紙代が5万円~10万円程度。合同会社で申請する場合は株式会社よりもコストは安くなります。

法人登録の申請を行政書士などの専門家に依頼する場合はさらに手数料がかかります。自分で手続きをするとしても、最低でも20万円程度は必要です。法人設立が完了したら、法人名義の銀行口座を開設するなど、何かと手間がかかります。

2.赤字でも法人住民税が発生する

もし、事業所得が赤字だったとしても、法人住民税がかかることが法人化のもう1つのデメリットです。

個人口座の場合は、海外FXで損失を出した年は確定申告も税金の支払いも不要です。しかし、決算が赤字であったとしても法人は毎年確定申告は必要です。事業所得にかかる法人税はゼロでも、法人住民税が最低でも7万円支払わなければなりません。

3.個人と法人で確定申告が必要になる

法人口座で海外FXで得た利益は、個人口座の時のように自由自在に使うことができません。自分で使う分は役員報酬として会社から受け取る形になります。

役員報酬として受け取った収入には個人の所得税・住民税がかかりますので、個人と法人と両方で確定申告が必要です。法人の確定申告は決算日から2か月以内となるため、申告の時期はずれるかもしれませんが確定申告にかかる手間が2重になるため大変です。

法人の確定申告は税理士に依頼するケースもありますが、規模が小さいうちは自分で行った方が費用が節約できます。

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というように、海外FXの法人口座にはメリット・デメリットとあります。海外FXで節税を重視するならば、当然ながら法人化した方がメリットが多いのですが、法人登録や毎年の確定申告など素人にはわかりづらいことも多いのが難点だといえます。

万が一、法人登録を解除(廃業)する際には、登録時と同様に費用や手間がかかりますので慎重に検討することが大切です。デメリットをよく吟味した上で、法人化が必要かどうか判断するようにしましょう。

海外FX 法人口座の開設方法

海外FX 法人口座の開設方法

それでは、最後に海外FXの法人口座の開設方法をご紹介します。

法人口座を開設する流れ

  1. 法人口座がある海外FX業者を選ぶ
  2. 法人口座専用のページから手続きを行う
  3. 法人口座専用の申請フォームにて申請
  4. 必要書類を提出する
海外FXの公式サイトから「口座開設」をクリックすると、個人か法人か最初に選択する流れになっているケースも多いです。あるいは、普通に口座開設フォームへと進んで、口座を選択する箇所にて「法人口座」を選択するケースもあります。
法人口座開設に必要な書類

法人口座開設に必要な書類は

  • 法人の登記簿謄本(発行から3か月以内)
  • 本人確認証明書(運転免許証・パスポートなど)
  • 現住所確認証明書(公共料金・通信費の請求書・領収書など)

上記の3種類です。

※他にも取締役全員の署名を記載した「取締役決定書」の提出が必要な海外FX業者もあります。

法人口座が開設できる海外FX業者

ほとんどの海外FXにて法人口座が開設できますが、XMなど対応していない海外FX業者もあります。

法人口座が開設できるメジャーな海外FX業者は

など

法人口座開設の手順

AXIORYを例に挙げて法人口座開設の手順を解説していきます。海外FX業者によって若干の手順は異なりますが、概ね同じような流れで開設できます。

AXIORYの場合は、公式サイトのトップ画面の「口座開設ボタン」の下に「法人の方はこちら」という表記されています。「法人の方はこちら」をクリックして、法人用の口座開設画面に行きます。

1. 各種規約への同意

1. 各種規約への同意

最初に各種規約へ同意しますにチェックを入れて、「次に進む」をクリックします。

2.基本情報の入力

2.基本情報の入力

次の画面で法人の基本情報を入力します。

  • 法人名
  • 法人種別
  • 業務内容
  • 所在国
  • 設立年月日
  • 法人番号
  • 年間売上高
  • 純資産総額
連絡先情報

連絡先情報には、本人の名前、役職名、電話番号、メールアドレスなどをローマ字で入力します。

本店所在地

本店所在地は会社の住所を国名からローマ字で入力します。

すべて入力が終わったら「次へ進む」をクリックして下さい。

3.取締役様情報を入力

3.取締役様情報を入力

次の画面にて、役職名の人数を選択すると、人数分の登録フォームが出てきます。

  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 国籍
  • 住所
  • 連絡先

記入方法は上記の基本情報とほぼ同じ内容になっています。取締役の人数分を入力して下さい。

最後にアンチマネーロンダリングに関する確認事項にチェックを入れて次に進みます。

4.財務状況・投資経験の質問

4.財務状況・投資経験の質問

本人の投資経験に関する質問に選択型で回答していきます。最後に同意するにチェックを入れます。

FATCA(ファトカ)に関する質問

米国の納税者ではないことを証明する質問事項に回答していきます。一般的な日本人の場合、すべて「いいえ」で大丈夫です。最後に同意するにチェックを入れて下さい。

5.取引口座の申請

5.取引口座の申請

利用したいFX口座名、レバレッジ、ベース通貨などを選択して、同意するにチェックを入れます。以上で申請フォームの入力は完了です。

6.各種証明書のアップロード

入力が完了すると、書類をアップロードする画面が出てきますので必要な書類をアップロードして送信して下さい。

AXIORYの場合は

  • 法人の登記簿謄本
  • 本人確認書類
  • 現住所確認書類
  • 取締役決定書

以上を提出します。

7.口座情報(ログインID・パスワード)がメールで届く

申請内容が確認されるとメールで口座情報(ログインID・パスワード)が届きます。IDとパスワードで初回ログイン(登録)を行います。あとは、入金して資金が反映されれば、いつでもトレード開始できます。

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法人口座の開設方法は以上です。

ちなみに以下の記事では、海外FXの節税対策を徹底的に解説しています。ぜひ参考にして下さい。

まとめ

まとめ

法人口座の開設の手順は個人口座開設とほとんど変わりません。大きな違いは、法人の登記簿謄本や取締役全員の個人情報が必要となる点です。レバレッジなどの取引条件も個人口座と全く同じ条件となりますので、ハイレバレッジにて税率を心配せずに思い切り稼げるようになります。

海外FXの最大の魅力は500倍~1000倍もかけれるハイレバレッジです。限られた資金でも数百万~数千万円の利益がよりリアルに狙えます。しかし、いざ大金を稼いだ時には個人口座だと累進課税で多額の税金が課されてしまいます。寝る間も惜しんで努力して得た利益でも、最悪の場合は半分以上を税金でとられてしまうのです。

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税金が心配で思い切り稼げなかった方でも、法人口座にすることで税金への不安要素がかなり軽減できます。法人化を実現することが、FXトレーダーとして飛躍できるきっかけになるかもしれません。

海外FXで大金を稼ぐつもりであれば、法人化・法人口座の開設は必須だといえるでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人投資家、ライター、アナリスト。海外メディアを駆使した市場リサーチが強み。副業トレーダーを経て、フリーランスとして独立。 株式投資、FX、金プラチナ、債券、外貨預金、ETF・投資信託、不動産などの分散投資を得意とする。