海外FXにはPAMM、MAMという口座があります。PAMMやMAM口座はプロに取引を任せられる口座のことで、日本でいえば投資をファンドマネージャーに任せられる投資信託のようなものです。
せっかく海外FXを始めたけれど、なかなか勝てない、負けが続いていて自分で取引する自信がない方や、忙しくて自分でなかなか取引ができない方などは、PAMMやMAM口座を利用するのも選択肢の1つです。
EAを選択する方法もありますが、EAも結局のところはFX取引に関する知識やスキルがないと、今の相場に最適なEAが選択できません。EAを活用しても必ず勝てるわけではないのですね。
海外FX PAMM/MAM口座とは?
海外FXでは、PAMM/MAM口座が開設できる業者がいくつかあり、FX取引をプロに任せることができます。
FXでは、第三者に資金の運用を任せられる口座のことを「マネージドアカウント」といいます。PAMMやMAMはマネージドアカウントの1つです
PAMM/MAM(マネージドアカウント)
ファンドマネージャーは投資家から資金を募って、集めた資金にてFX取引を行います。
マネージドアカウント、PAMM/MAMのイメージは以下のようになります。
- 投資家A → 10万円出資
- 投資家B → 30万円出資
- 投資家C → 60万円出資
ファンドマネージャーは100万円を元手にFX取引を行います。100万円を運用して出た利益は出資額に応じて各投資家に配分されます。手数料がマネージャーの取り分となります。
PAMM口座とMAM口座は似たような口座ですが、若干の違いがあります。PAMMとMAMをそれぞれ詳しく解説していきます。
PAMM(パム口座)の仕組み
PAMMとは
「Percentage Allocation Management Module」の略です。
Percentage Allocation → 資金の一定額を使用する許可を与える
Management Module → マネージメントシステム
実績があるファンドマネージャーやプロトレーダーに、一定額の資金を使用する許可を与えて運用を任せるという意味の口座です。
PAMM口座では、
ファンドマネージャーやプロトレーダーの口座と投資家自身の口座とを紐づけて、FX取引を行ってくれます。
PAMMでマネージャーが運用に使う口座は「マスター口座」と呼ばれる口座で、「マスター口座」には複数・多数の投資家の口座が紐づけられています。つまり、マネージャーが投資家達から資金を集めて「マスター口座」で取引を行います。
投資家は自分の口座から任意で一定額の資金を「マスター口座」に入金します。マスター口座で得られた利益が各投資家の口座へと配分される仕組みになっています。
PAMMの手数料
PAMMでかかる手数料は、利益が出た場合のみ。損益が出た場合は手数料は一切かかりません。
海外FX業者によって手数料の比率は異なりますが、概ね「利益の15%~30%」が手数料となります。
MAM口座の仕組み
MAM(マム口座)とは、
「Multi Account Manager」の略です。
Multi Account → 複数の口座
Manager → ファンドマネージャー、プロトレーダー
ファンドマネージャー、プロトレーダーが複数の投資家の口座を1つにまとめて、FX取引を行います。投資家は運用者に口座への介入を許可します。
MAM口座では、
資金を運用者のマスター口座に預け入れる必要がありません。投資家の口座を投資家自身の代わりに取引してくれます。
投資家は運用者に発注の権限を与えます。MAM口座に入金している金額がそのまま運用金額となります。利益が出た場合は、口座残高から手数料が差し引かれます。投資家の口座を使うので、取引状況が確認できることがMAMの特徴です。
MAMの手数料
MAM口座の手数料は、マネージャーの取り分となります。概ねで「利益の15%~30%」です。
PAMMとMAMで稼げるのか
投資信託や自動売買と同じように、PAMMやMAMを使ったからといって必ず100%利益が出せるわけではありません。利益が出せるかどうかは、運用を行うファンドマネージャーやプロトレーダー次第だといえます。
ただし、誰でも簡単にPAMMやMAMの運用者になれるわけではありません。
- FX取引の経験が少ない
- FX取引で勝てない
- 忙しくて取引の時間がない
PAMMとMAMの違い
次に、PAMMとMAMの違いを見ていきます。
マネージドアカウント | PAMM | MAM |
---|---|---|
取引を行う口座 | 運用者のマスター口座 | 投資家の口座 |
出資方法 | 一定額をマスター口座に入金 | 運用額を自分の口座に入金 |
手数料 | 10%~30% | 10%~30% |
損益だった時の手数料 | なし/0円 | なし/0円 |
取引状況の確認 | できない | できる |
運用資金の損益状況 | 確認できる | 確認できる |
取引を行う口座
PAMMは運用者のマスター口座にて取引が行われます。MAMでは、投資家自身の口座を運用者が取引に使います。
出資方法
PAMMでは、マネージャーと投資家は異なる口座を使います。投資家は子口座である資金管理用の口座を使い、その口座からマネージャーのマスター口座に入金します。
手数料
手数料は利用するPAMM/MAM口座ごとに設定が異なり、どちらの方が安い・高いとは一概にはいえません。概ねで「利益の15%~30%」です。
損益だった時の手数料
PAMMでもMAMでも損益だった時の手数料は0円です。(手数料不要)
取引状況の確認
PAMMではマネージャーはマスター口座を使って取引をしますので、投資家は確認することができます。MAMの場合は、マネージャーは投資家の口座を使いますので取引状況が確認できます。
運用資金の損益状況
PAMMでもMAMでも運用資金の増減、損益状況の確認は可能です。
PAMM口座の方が勝率が高いといわれる理由
PAMMとMAMの大きな違いは、取引状況が確認できるかどうかです。
- PAMM → 取引状況は確認できない
- MAM → 取引状況が確認できる
実は、この違いから一般的にPAMMの方が勝率が高いといわれています。
その理由は、
マネージドアカウントを運用するマネージャーにとって、トレード戦略は報酬を得るための「大切な収入源」です。高度でオリジナルな戦略があるからこそ、FXで成功しているといえます。優れたマネージャーほど、そのように大切な収入源を人に見せたがらないのです。
というのも、
- オリジナルで誰も使っていないからこそ、勝率が高い手法だから
- 投資家がトレードを手法を真似して、自分に委託しなくなるから
などの理由があるのです。
従って、
というわけなのです。
PAMMのメリットデメリット
PAMMのメリットは、腕のいい優秀なファンドマネージャー・プロトレーダーが多い、ということです。投資家は取引状況を見ることができませんが、利益への期待値はMAMよりも高くなるといえます。
デメリットは取引状況が見れないことが不安要素になりがちです。いったいどのような取引をしているのか心配になる投資家もいるでしょう。
MAMのメリットデメリット
MAMのメリットは、実際にプロの取引を見ながらトレード手法が学べることです。初心者の方は参考にしながら、各自の裁量取引に役立てることができます。
しかし一方では取引状況が見られてしまうことから優秀なマネジャーが少ないことがMAMのデメリットになっています。
PAMM/MAM口座が使える海外FX業者
それでは、PAMM/MAM口座が使える海外FX業者と使い方をご紹介していきます。
海外FX PAMM/MAM口座
LAND-FX PAMM口座
LAND-FXは、本社はロンドンに構える規模が大きい海外FX業者です。日本向けサービスはオフショア系の金融ライセンスにて提供していますが、グループ会社では審査が厳しい英国FCAの金融ライセンスを取得しています。狭いスプレッドに入金ボーナスなどサービスの質、実績・信頼ともに高く評価されています。
LAND‐FXではPAMM口座を提供しています。まずはLIVE口座の開設後にPAMMの登録を行います。登録が完了するとPAMMのファンドマネージャーを選択して運用を任せることができます。最低入金額や手数料は選択するマネージャーごとに異なります。
TitanFX PAMM口座 MAM口座
TitanFXはスプレッドの狭さや約定力の高さで定評がある海外FXです。とくに東京のサーバーが使えるECN口座は国内でも人気があります。
TitanFXでは、PAMMとMAMの両方が開設できます。PAMMやMAMを使うためにはIBプログラムというブローカー紹介サービスへの契約が必要です。利用するPAMMやMAMの種類によって手数料は異なります。
設定の仕組みがやや複雑で初心者にはわかりづらいことが難点です。海外FXや海外FXのEAの設定などに慣れている方向けです。
IronFX PAMM口座
IronFXは、過去に突然の日本撤退や中国人襲撃事件などがあったことで、ネガティブな評価もありますが、現在は財政・経営面も安定し運営実績も長く一定の人気を確保している海外FX業者です。
IronFXのPAMM口座は、PAMM口座のみの開設も可能で手数料は無料です。最低入金額は100万円(時期による)からで、毎月2%程度の安定した利益率をキープしています。手続きが比較的に簡単なことがIronFXのPAMM口座の特徴です。
GEMFOREX MAM口座
Gemforexは気前のいい口座開設ボーナス・入金ボーナスで人気を集めている海外FX業者です。
GemforexではMAM口座が利用できます。ただし、GemforexのMAM口座は紹介者がいなければ開設できません。MAM口座を利用しているトレーダーをネットやSNSで探します。大抵の場合、紹介リンクが公開されているので、そのリンクからMAM口座開設のページにアクセスできます。
AXIORY MAM口座
AXIORYは高度なトレード環境とcTraderで有名な海外FX業者です。まだ、運営実績は比較的に短いものの、数々の海外FXランキングにて上位にランクインしています。
AXIORYのMAM口座は、AXIORYの口座を開設していれば利用することができます。AXIORYでは本サービスとは別途でMAM専用のアシスタントデスクを設けています。口座開設後に、お問い合わせフォームからMAMについて問い合わせて申し込む流れになっています。
PAMM口座の使い方・手順(Iron FX)
次に、具体的なPAMM口座の使い方・手順を解説していきます。ここでは、シンプルでわかりやすいIronFXのPAMM口座をご紹介します。海外FX業者によってPAMM/MAM口座開設の流れは異なりますが、口座開設後の使い方はほぼ同じです。
1.口座開設フォームに入力する
IronFXの公式サイトのトップページから「登録ボタン」を押して口座開設画面にいきます。
- 名前
- メールアドレス
- 国名
- 携帯電話
- 口座タイプ
- 通貨
- レバレッジ
- パスワード
- 同意
ローマ字表記にて上記の項目を入力します。
- ベース通貨は日本円での入金であればJPY(日本円)を選択して下さい。
- レバレッジはPAMM口座なので自動的に200倍になります。
2.必要書類をアップロードする
ログインIDとパスワードで会員用サイト(クライアントポータル)にログインして、必要書類をアップロードします。
- 本人確認証明書(運転免許証、パスポートなど)
- 住所証明書(住民票、公共料金の明細書など)
上記2種類の書類が必要です。
3.電子署名をする
次に、PAMM口座では契約書への署名が必要になりますので、メールで届いた書類に電子署名をします。
書類が届いたら、「View Documents」のボタンを押して書類を開きます。
書類の一番下に署名する箇所がありますので、マウス操作でサインします。
これでPAMMの口座開設は完了です。あとは確認完了のメールが届くのを待ちます。
4.運用資金をPAMM口座に入金する
口座開設が完了したら、いよいよ運用資金を口座に入金します。
会員用サイトのメニューから「資金を入金」を選択すると、入金方法一覧が表示されます。
- デビット/クレジットカード
- 海外送金
- bitwallet
- 国内銀行送金
- Bitcoin
最低入金額は100万円です。最低入金額は以前は10万円の時もありました。時期によって変更があったりしますので、事前に確認するようにして下さい。
100万円の最低入金額は、ちょっとハードルが高いのですが、がっつりとFXで資産運用していきたい方におすすめです。
5.PAMMの運用スタート!
PAMM口座への資金の入金が完了したら、後はFX取引をプロに任せるだけです。
PAMMでは取引状況の確認ができません。口座残高の増減を見て、今どのような状況にあるのか確認するようにしましょう。
まとめ
海外FXのPAMM/MAM口座は国内FXにはないサービスです。自動売買・EAなら国内FXでも利用できますが、ストラテジーの選択にはそれなりに裁量トレードのスキルが必要です。どのタイミングでどのストラテジーを使うべきかの判断が難しくもあります。
PAMM/MAMが自動売買のストラテジーと全く異なるのは、ファンドマネージャー・プロトレーダーである1人の人物に資金を預けて代わりにトレードしてもらう点です。どのような手法がいいのか考える必要がありません。まさに、投資信託のような感覚でFXの知識がなくとも質の高い資産運用・投資が実現するのです。
PAMM口座は取引状況が確認できないことがデメリットでも、優れた運用者に稼いでもらえる可能性が高いことがメリット。
MAM口座はPAMMよりはスキルが劣る運用者が多いことがデメリットでも、取引状況の確認が可能で手法を学べることがメリット。
PAMM/MAM口座はメリット・デメリットとありますが、裁量トレードでなかなか結果が出せない・出す自信がない、時間がないなどと悩んでいる方は、思い切って資金をプロに委ねてしまうことも1つの選択肢です。