海外FXではよく「STP口座」や「ECN口座」という言葉を見聞きします。「STP口座」「ECN口座」とはいったい何のことなのか疑問に思う方も多いでしょう。
一般的に海外FXではスタンダードなFX口座とスプレッドが狭く手数料が有料のFX口座と2種類があります。
「STP口座」とは海外FXのスタンダードな口座のことで、「ECN口座」とは手数料がかかりますが狭いスプレッドが約束されている口座のことです。ひとまずは、海外FXの基本となる「STP口座の」ことを十分に理解しておくことが大切です。
海外FXのSTP口座とは?
一般的に海外FXでは、一部例外もありますが手数料が無料のスタンダードなSTP口座と、ECN口座と呼ばれる手数料が有料の口座があり、大抵はSTP口座とECN口座の2種類が用意されています。
STP口座、ECN口座とは何なのか概要をまずは簡単に解説します。
STP口座とECN口座
最初にSTP口座から見ていきましょう。
STP口座とは
海外FXのSTP口座とは
海外FXでは、このSTP口座が最もスタンダードな口座となります。原則として手数料は無料、実際のインターバンク市場の為替レートやスプレッドが反映され、スプレッドは変動で市場の影響を受けて広がりやすい傾向にあります。加えて、海外FX業者への一定の比率で手数料がスプレッドに上乗せされるため、基本的にスプレッドが広めの設定となるのが特徴です。
価格を決定するにあたっては、各海外FX業者が契約するLP(リクイディティプロバイダー)が提供する価格から最も近いものが約定される仕組みになっています。
LP(リクイディティプロバイダー)とは
インターバンク市場(為替市場)に参加している金融機関のことで、大手だと「Bank of America」「BARCLAY」「JP Morgan Chase」などがあります。どのLPから価格提供が行われるのかは各海外FX業者の提携状況によります。
海外FX口座を選ぶ時にはLPをチェックするのも1つの方法です。
STP口座にも色々種類がある
STP口座にも海外FX業者によって色々な種類があります。
単にスタンダードなSTP口座を1種類だけ提供している場合もあれば、少額取引用のSTP口座や、レバレッジが異なるSTP口座や、スプレッドが狭めになるSTP口座などがあります。
ECN口座とは
ECN口座とは
ECN口座は手数料が有料となる海外FX口座のことで、STP口座とともに提供されています。ECN口座の場合は、金融機関だけでなく、機関投資家や個人投資家など幅広い層が参加する市場にて取引ができるので、流動性が高く有利な価格で約定しやすい環境にあります。
手数料はスプレッドには含まれずに、別途で課されますのでスプレッドが狭くなるのがECN口座のメリットです。サーバーやLPに力を入れている海外FX業者の場合、国内FXの最狭クラスのレベルで取引が可能となります。
ECN口座の手数料は海外FX業者によって異なります。
概ね安い場合で、片道3ドル前後/ロット。高い場合だと、片道5ドル程度/ロットで課されます。手数料は約定するたびに口座残高から差し引かれる仕組みになっています。
ECN口座のレベルには差がある
ECN口座といっても、利用する海外FX業者によってスプレッドの狭さや約定力の高さで差が出てきます。どのECN口座でも、同じクオリティではないのですね。
海外FXの場合、どうして地理的遅延が生じますので、ECN口座でもそこまでスプレッドが狭いとはいえないケースも出てきます。東京にサーバーを構えていたり、上質のサーバーやシステムを採用している海外FX業者を選ぶ必要があります。
STP口座とECN口座の違い
STP口座とECN口座の違いを簡単にいうと、手数料の有無とスプレッドの狭さです。
- STP口座 → 手数料がスプレッドに上乗せ(スプレッドが広い)
- ECN口座 → 手数料が外付け(スプレッドが狭い)
また、取引する相手が誰なのかという点でもSTP口座とECN口座は異なります。
- STP口座 → 海外FX業者が提携している金融機関(LP)
- ECN口座 → インターバンク市場の参加者全員
取引の対象がECN口座では幅広くなるため、より有利な価格で約定しやすくなるのが両者の違いでもあります。
海外FXのNDD方式とは
海外FXのSTP口座もECN口座もNDD方式と呼ばれる取引システムの1つで、国内FXとは全く異なるシステムが採用されています。国内FXはDD方式(店頭取引)と呼ばれる取引システムが基盤になっています。
NDD方式とDD方式の違いを知ることで、海外FX口座と国内FX口座の根本的な違いがわかります。
- 海外FXはインターバンク市場で取引を行うNDD方式
- 国内FXはFX会社の店頭(窓口)で取引を行うDD方式
ここで、NDD方式、DD方式とは一体何なのかを詳しく解説していきます。
NDD方式とは
NDD方式とは
STP口座もECN口座もNDD方式での取引方法です。
NDD方式での注文から約定まで
NDD方式では、
投資家が出した注文はMT4を介してインターバンク市場に流れます。次に、海外FX業者が提供している金融機関が提示する為替レートの中から、一番近いものへと注文が送られて、約定する仕組みになっています。
FX会社は取引にはノータッチ
海外FX業者は、価格の提供や約定にはノータッチです。わかりやすくいうと、インターバンク市場にアクセスできるMT4を提供しているだけなのだといえます。投資家は海外FX口座を開設することによって、MT4を介してインターバンク市場にアクセスできるようになるということですね。
NDD方式の特徴
- インターバンク市場(為替市場)での取引
- リアルタイムで市場の取引レートが反映される
- スプレッドは変動制
- 市場の状況によってスプレッドが拡がりやすい
- スリッページやリクオートが起こりにくい
- 透明性が高く信頼できる取引システム
NDD方式で取引できることが、ハイレバレッジに加えて海外FXの大きな魅力となっています。
国内FXのDD方式とは
今回はじめて知る方も多いと思いますが、国内FXはDD方式(店頭取引)という取引システムが採用されています。FXは24時間取引が可能で、世界中の為替市場にて取引をしているイメージがあるものの、実は国内FXの場合は各FX会社の窓口にて取引をしているに過ぎないのです。
DD方式とは、
呑み取引とは
知って驚く「呑み取引」とは、
投資家が取引のために支払った金額は、一旦、FX会社内にて保留されている状態ですね。
もし、投資家が損失を決済したとすれば、FX会社は投資家に戻す金額が少なくて済みます。
つまり、投資家が損すればFX会社は儲かる仕組みになっているのです。
おそらく、FX取引は手数料が無料なのに、FX会社はどうやって利益を得ているのだろう、と疑問に思った方もいると思います。実は、「呑み取引」にて国内のFX会社は利益を得ているのです。
もし、投資家が利益を確定したとすれば、FX会社は損してしまいます。従って、すべての注文を呑むわけではなく、成績がよい投資家の注文や勝つ見込みのある注文の一部をカバーしてリスクを抑えているのです。
投資家の利益とFX会社の利益は相反
DD取引は「呑み取引」が基盤となるため、
- 投資家が損すればFX会社が儲かる
- 投資家が利益を出せばFX会社は損する
関係にあり、投資家の利益とFX会社の利益は相反していることになります。
国内FXでは、MT4ではなく各社が用意した取引ツールを使うのは、DD方式を採用しているからなのです。一応、実際のインターバンク市場(為替市場)に従って為替レートを提供していますが、自社内で注文を処理しているため、自由にスプレッドの設定が可能です。
DD方式にはネガティブな噂も
DD方式では、「呑み取引」と呼ばれる不透明な取引方法が採用されているため、あえて投資家が損をするような仕組みになっているとの噂もあります。
あえて、スリッページやリクオート、レートずらしのロスカットなどを起こして損失が拡大するようにしている、との声も聞かれています。真相は不明ですが、顧客が損することでFX会社が儲かる、という数式は事実なので若干の不安が残りのが実状です。
STP口座、ECN口座、国内FX口座を比較
口座比較 | STP口座 | ECN口座 | 国内FX |
---|---|---|---|
板情報 | 見れない | 見れる | 見れない |
気配値 | 見れない | 見れる | 見れない |
透明性 | NDD取引なので高い | NDD取引、市場直接参加型なので100% | グレーorブラック |
スプレッド | 変動、広い | 変動、狭い | 固定、狭い |
取引手数料 | 無料 | 有料 | 無料 |
約定力 | 高い | 高い 市場の流動性による | 低い |
リクオート | ほとんどない | ない | 起きやすい |
STP口座のメリット
STP口座のメリットをまとめると、
- NDD方式なので透明性が高い取引
- 顧客との利益相反は生じない
- 手数料が無料
- 世界で人気のMT4・MT5が主流になる
- スリッページやリクオートが起きにくい
- 世界中の大手LPと提携している海外FX業者も多く、約定力は高めになる
- FX会社の収入源が明確なため安心できる
などを挙げることができます。
NDD方式のSTP口座は、顧客とFX会社の関係が明確で透明性が高いことが大きなメリットです。基本的にリクオートはなしで故意のスリッページが起きる心配がありません。LPが多い海外FX業者だと約定力も高いため、スプレッドの広さは約定力でカバーできます。
海外FX業者は、上乗せしたスプレッドにて収益を得ていて、顧客と利益相反が生じないため安心できることが評価されています。
STP口座デメリット
STP口座のデメリットは、手数料込みのスプレッドの広さです。
同じSTP口座でも、海外FX業者によってスプレッドは大きく異なります。提携LPが多く、サーバーやシステムに力を入れている海外FX業者であれば、STP口座でも比較的狭めのスプレッドで取引可能です。
ただし、どんなにスプレッドが狭めで約定力が高いSTP口座であっても、多少の地理的遅延は避けられません。スキャルピングなど秒・分単位での取引にはSTP口座は不向きだといえます。
まとめ
STP口座は海外FXのスタンダードな口座です。海外FXで口座を選ぶ時には、初心者の方はまずはSTP口座から始める方がよいです。また、取引量や取引金額が少ない方もSTP口座で少し時間的に余裕を持ったトレードがおすすめです。
STP口座でも、複数の口座を提供している海外FX業者もあり、それぞれの条件・目的に適した口座を探すことができます。
国内FXではDD方式(相対取引/呑み取引)が主流となる中、海外FXのSTP口座はリクオートなしで約定力が高い取引方法です。スプレッドの広さを約定力で多少はカバーできる部分もあります。FX会社と投資家とが利益相反の関係にはならないことが最大のメリットで、透明性が高く信頼できるFXサービスだといえます。
STP口座に慣れてきたら、トレード手法に合わせてECN口座も検討してみるとよいでしょう。