「買い」と「売り」と両方のポジションを持つ「両建て」は、リスクヘッジや税金対策、スワップトレードなどで使われてる手法です。海外FXでは「両建て」は禁止されていないのか気になりますよね。
異なる業者間での両建ては禁止されているケースがほとんどで、基本的に、同じ海外FX業者の口座内であれば海外FXでも両建てはOKです。
国内・海外を問わずFXトレードでよく見聞きする「両建て」とは、そもそもどのような手法なのか、どのように活用すべきなのか、まだ使ったことがない方も結構多いかもしれません。
両建てトレードとは?
海外FXでも、国内FXでも、よく「両建てOK」「両建ては推奨していません」などと書かれています。
「両建て」とは、
両建てのイメージ
両建てトレードは、仮に推奨されていない場合でも、同一口座内の両建てであれば大抵はOKです。(国内・海外ともに)
異なる業者間での両建ては原則禁止している業者が多いです。(国内海外ともに)
そもそも「両建て」はどのような時に使うのかを最初に見ていきます。
両建てはこのような時に使う
一般的に、両建ては以下の3つの方法で使われています。
- 損失の拡大を防ぐ(ロスカット回避)
- リスクヘッジとして使う
- 節税対策として使う
1.損失の拡大を防ぐために使う
最も代表的な両建ての使い方は、損失の拡大を防ぐために使われています。とくに、ロスカットを避ける方法として使われることが多いです。
具体的にどういうことかというと・・・
両建てで損失拡大を防ぐ例
「買いポジション」持ったあと損切りしそびれてしまい、口座残高が「−10,000」になりました。相場はまだ下落が続くようで、証拠金維持率がどんどん低下しきています。ロスカットまでにまだ余裕があるうちに「売りポジション」を持ちます。
損失額「−10,000」の時点で「売りポジション」を持ったため、スプレッドと約定の関係から「−11,000」の状態がキープされます。
「買いポジション」の損失を「売りポジション」が相殺できる
相場の下落が続いた場合、「買いポジション」の損失額が拡大したとしても「売りポジション」では利益が増えていくことで相殺できます。
下降が底をついたタイミングで「売りポジション」を決済
下降が底をついたタイミングで「売りポジション」を決済すれば、残高が底上げされます。トレンドが上手く上昇に反転すれば「−7,000」の状態から今度はマイナス高が減り続けていくわけです。
2.リスクヘッジに使う
損失が出てからの両建てではなく、最初からリスクヘッジの方法として両建てする場合もあります。
原則として相場は上か下かのどちらかにしか動きません。上に行くのか下に行くのかで投資家は様々な方法で分析するわけですが、正確な相場予想は不可能となるため「買いポジション」と「売りポジション」を同時に注文します。
- 上昇に向かい始めたら「売りポジション」を損切り、「買いポジション」の利益が増えていく
- 下降に向かい始めたら「買いポジション」を損切り、「売りポジション」の利益が増えていく
相場の方向性を確認したら、利益で出始めた方のポジションを保有、損失が出始めた方のポジションを早めに損切りすることでリスクヘッジが可能となるわけです。
3.節税対策として使う
あえてFX所得の金額を少なくして節税するために両建てを活用することができます。年間のFX所得は12月31日までに決済した分が対象となります。
年末が近づいていきたら、両建てでポジションを保有しておきます。
「買いポジション」と「売りポジション」の両方を持っていると、どちらか一方に利益が出て、どちらか一方は損失が出る仕組みになっています。年末の最終日に、あえて損失が出ている方のポジションを決済します。
利益が出ている方のポジションは年が明けてから決済、または利益がもっと増えてから決済することで、実質の損失額は翌年に相殺できます。節税対策用に両建てポジションを1つ持っておくわけです。
両建てトレードのメリットと注意点
ここでは両建てのメリットと注意点をわかりやすく解説していきます。
両建てのメリット
メリット1.トレンドが反転するのを待つことができる!
相場は上昇トレンドと下降トレンドを繰り返しています。
下降トレンドが継続した後は、どこかのタイミングで上昇トレンドへと切り替わります。一時的に損失が拡大したとしてもピークを過ぎれば相場は上昇し始めることがわかっています。
トレンドが上下する相場の仕組みを肌で実感しているトレーダーは、あえて損切りせずに待つことも度々ありますよね。しかし、時には想定以上に上昇・下降トレンドが継続する局面も出てきます。そうなると、損失が拡大しすぎてしまいロスカットの危険性が高まります。
しかし、同時にロスカット直後に相場が反転するのを見てきたトレーダーも多いはずで、「あとほんの少し資金の余裕があったなら、ロスカットされずに済んだ」と悔しい思いをしたことはありませんか?
注意点
- 最初のポジションの損失が拡大する方向に相場が進まないと意味がない
- 底をついたと判断するタイミングが肝心
- 両建てのまま塩漬けとなる可能性もある
- スプレッドやスワップでコストがかかる
また、トレンドが底をついて反転するタイミングで反対ポジションの利益を決済しますので、トレンド反転を見極めることが重要になってきます。
メリット2.相場がどちらに向かっても利益が出せる!
この後、相場が上昇するか下降するかは誰にも正確に予想することはできません。「やっぱり下降だった!」「売りかなとも思ったんだ!」などとポジションを持ってから後悔することも多いですよね。
結局のところ、相場は上か下かのどちらかに進むわけですから、最初から両建てで両方のポジションを持っておけば、どちらに向かったとしても利益が出せることになります。
注意点
- 変動が激しい相場では上か下かの判断が難しい
- 損切りした方のポジションに相場が反転することもある
- 両建てでエントリーするタイミングが肝心
- 早めにどちらかを決済しないと、両建てのまま塩漬け状態になる可能性がある
3.損失額をつくって課税額を減らすことができる!
海外、国内問わず、FX所得が20万円を超えると課税対象となります。(給与所得がある場合)両建てで損失をつくることによって、FX所得を20万円以下にすることが可能です。
また、FX所得が事業所得となる専業トレーダーやフリーランス・個人事業主の場合でも、FX所得を最小限に抑えることで課税額を減らすことが可能です。
両建ての2つのポジションの決済タイミングを年末と年始にずらすだけなので、結果的には口座残高はほぼプラスマイナスゼロの状態が維持できます。あるいは利益が出ているポジションの方をそのまま保有しておくことも可能です。
注意点
- 海外FXはマイナススワップが多いのでスワップコストに注意
- スプレッドによって完全に相殺できない場合もある
- 年末と年始で大きな為替変動があった場合には損失額の相殺が難しくなる
- 節税に効果的な損失額を出す必要がある
年末・年始に相場が急落・急騰した場合は、反対ポジションの決済にて損失額が相殺できないリスクがあるので注意しましょう。
海外FXの両建てトレード攻略法!(両建て応用編)
実は、上述した両建て以外でも、効率よく稼ぐ活用方法がいくつかあるのです。海外FXならではの特殊な活用方法もあります。
海外FXの両建てトレード攻略法(両建て応用編)をご紹介していきます。
攻略法1.ゼロカットシステムを利用した両建てトレード手法!
海外FXのゼロカットシステムとは、
急激な相場変動でロスカットが間に合わなかった場合でも、マイナス分は課金されないロスカット方式のことです。どんなにマイナス額が出たとしても、ロスカット時の残高をゼロで処理されるシステムが採用されています。
ゼロカットシステムがある海外FXでは、2つの口座間で両建てをすると想定以上の利益が期待できます。ゼロカットのマイナス分を利益にする方法です。
ただし、
- 相場変動が一方向に大きく動く時
- 少額ハイレバレッジでわざとロスカットを狙う
ことが重要なポイントです。
ゼロカットシステムの両建てトレードのやり方
異なる2つの口座でそれぞれ100,000円の資金にて「買いポジション」と「売りポジション」を保有します。
当然ながら、大きな相場変動があった時にはどちらかのポジションがロスカットされます。資金100,000円が0になって実際には-100,000円でロスカットされたとしても、ゼロカットなので残高は0円でロスカットとなります。-100,000円分の取引資金は海外FX業者が補填(損)する仕組みになっています。
しかし利益が出ている方のポジションは、+200,000円となっていて、マイナス分の相場動向はしっかり反映されています。結果的には、200,000円の資金を使って100,000円が稼げたことになります。自己資金以上の利益が出せる可能性があるのです。
攻略法2.経済指標時を利用した両建てトレード手法!
米雇用統計やFOMCの金融政策の発表時には、物凄いスピードで相場が変動します。とくに、市場の予想に反する結果が出た時には、わずか数分でも50pips以上動くことが多々あります。
数分間で100pips近く動くこともあります。この瞬間を両建てに使わない手はありません。
経済指標時の両建てトレードのやり方
経済指標が発表されたら、
- 利益が出始めた方のポジションを保有
- 損失が出始めた方のポジションを損切り
してどちらに動いたとしても、短時間で大きな利益が得られます。
※ゼロカット両建てトレードを経済指標時に2つの口座間で行うトレーダーもいます。
※変動が激しくなりやすいので、スピーディな決済が求められます。
攻略法3.窓開けを利用した両建てトレード手法!
月曜日の朝など、窓が大きく開く瞬間があります。1分間で50pips程度価格がジャンプすることもあります。このように、価格が上か下かにジャンプして窓が開くことを窓開けトレードといいます。
このように大きく動く局面では、ゼロカットを狙った両建てが成功しやすい傾向にあります。
窓開け両建てトレードのやり方
- 金曜日にニューヨーク市場がクローズする前に、2つの口座間で両建て
- 月曜日の朝に待ち構えて決済
※すぐに反対方向に動き出す可能性があるので、スピーディな決済・判断が必要です。
攻略法4.スワップ両建てトレード手法
基本的に両建てはプラスマイナスゼロなので、為替差益を狙うことができません。ただし、数日以上保有すればスワップポイントで利益を増やすことが可能です。
しかし、海外FXのスワップはマイナススワップがほとんどです。プラスのスワップがあったとしても両建てで+になることはほとんどありません。そこで注目したいのが、異なる業者間でのスワップ格差を利用して両建てで+に転換する方法です。
スワップ両建てトレードのやり方
- A社のスワップは買いポジションで3.0ポイント
- B社のスワップは売りポジションで-2.0ポイント
この2つのポジションを数日以上保有すると・・・、残高はプラスマイナスゼロの状態で毎日1.0ポイントを稼ぐことになります。
GemForexでは同一口座内でスワップ両建てが可能
GEMFOREXは、プラスのスワップが比較的に多い海外FX業者で、同一口座内にてスワップ両建てトレードが可能です。
GEMFOREXのスワップ情報はこちら
※スワップ両建てはスワップが変動してマイナスになるリスクがあります。
攻略法5. 100%入金ボーナスを使ったトレード手法
海外FXでは、100%入金ボーナスがもらえる海外FX業者が多いですよね。この100%入金ボーナスをくれる2社の口座でゼロカット両建てをすると、一方の口座にて利益を得ることができます。
入金ボーナス両建てトレードのやり方
- A社 現金5万円 ボーナス5万円 (残高10万円)
- B社 現金5万円 ボーナス5万円 (残高10万円)
一方のポジションはトータル10万円が残高ゼロでロスカットされます。もう1方のポジションは残高が20万円に増えています。これがボーナス無しならばプラスマイナスゼロですが、5万円はボーナスなので実質の損失は5万円です。
結果的に5万円を両建てで稼いだことになります。
※ボーナスの金額がロスカットの対象となることが条件
異なる業者間の両建ては規約違反となる場合が多い
- 2社のMT4/MT5のサーバーが共通している
- 2社がLP代行業者のブリッジを使用している
などでIPアドレスが分かってしまうことが考えられます。
バレない可能性もありますが、バレた時には出金拒否などで損失を被るリスクがあります。禁止されている海外FX業者での両建ては避けた方が無難です。
まとめ
今回は、海外FXの両建て攻略法を解説していきました。
まず両建ての基本的な使い方として、
- 損失の拡大を防ぐ
- リスクヘッジで利用する
- 節税対策で利用する
3つの方法があります。
さらに応用編として、
- ゼロカットシステムを利用した両建て
- 経済指標時の両建て
- 窓開けトレードの両建て
- スワップを使った両建て
- ボーナスを使った両建て
などで稼ぐことも可能です。
VPNサーバーを使って2台のPCで取引する方法や、アービトラージがバレにくい、または寛容だといわれている海外FX業者も一部あるようです。詳細は定かではありませんので十分に注意して規約違反とならない両建てで稼いでいきましょう!