海外FXでも国内FXと同じようにロスカットがあります。FXが現物の株式や銀行の外貨預金などと大きく異なるのは、レバレッジがかけれることとロスカットが存在することです。
FXはレバレッジがかけれることで資金以上の取引ができる一方では、資金以上の損失が生じる可能性があります。とくに海外FXでは500倍~1000倍程度のハイレバレッジがかけれるため、もし、海外FXでロスカットがなかったら、ほんの短い時間でも大きなマイナス額を出すかもしれません。海外FXのロスカットは国内FX以上に必須のシステムだといえます。
ロスカットレベルは海外FX業者によって異なり、いざ取引を始める時には、必ずロスカットレベルを確認しておくことが大切です。
海外FXのロスカット
海外FXでも例にもれずロスカットが採用されています。
海外FXのロスカットレベルは
が平均的です。
国内FXのロスカットレベルは
となり、海外FXよりも高めの設定になっています。
ロスカットによって、資金の大半を失うことにはなりますが、残高がマイナスになることを避けることができます。海外・国内を問わず、ロスカット制度があることがFXの大きな特徴で、ロスカットにどう対処していくかがFXトレーダーとしてのスキルを左右します。
ロスカットとは
ロスカットとは
ロスカットはレバレッジがかけれるFX特有のシステムです。株式や外貨預金など現物での取引では、ロスカットは存在しませんので、どんなに価格が下がりきったとしても待つことで価格が戻ることもあり得ます。決済しない限りは損失は確定しませんので、時間をかけて待つことを選ぶ投資家も多いですよね。
しかし、FXではロスカットにて自動的に決済されてしまいますので、大きくなりすぎた含み損が嫌でも確定されてしまいます。残高がゼロになるよりは確かにマシですが、強制的に決済されてしまうことがFXの大きなデメリット・リスクだといえます。
ロスカットレベル
どれくらいの含み損でロスカットされるかは、ロスカットレベル(ロスカット基準)にて規定されています。
証拠金維持率とは
証拠金維持率(Margin level) は、現在の資産状況を表す数値です。証拠金維持率が高いほど口座は安全な状態(利益を得ている)だと判断できます。
証拠金維持率は必要証拠金に対して、有効証拠金がどれくらいの比率なのかを表したもので、以下のように計算します。
証拠金維持率(Margin level)
= 有効証拠金(Margin) ÷ 必要証拠金(Free Margin)
この数値が規定のレベルに達したら決済されますので、常にチェックするようにしましょう。
マージンコールとは
証拠金維持率(Margin level)が30%~50%に達した時にメールで知らせてくれます。あらかじめ設定していないと配信されないケースもあるので確認しておきましょう。とくにポジションを持ち越す時には、マージンコールを設定しているかどうか注意して下さい。
ロスカットとマージンコールのイメージ
ロスカットを避ける方法
ロスカットを避ける方法は
- ポジションを減らす → ロスカットまでの猶予ができる
- 全ポジションを決済する → 少しでも多くの資金を残す
- 追加で入金する → ロスカットまでの猶予ができる
以上の3つの方法があります。
両建てでヘッジする方法もありますが、マージンコールを受けた時点では、もう新しいポジションを保有することが不可能な状況にあります。早めに損失が拡大した時点で両建てでひとまず損失の拡大を抑える方法もあります。
海外FXのゼロカット・追証なしとは
ほとんどの海外FXでは、ロスカットの際に「ゼロカット」というシステムが採用されています。よく「ゼロカット・追証なし」とも呼ばれているロスカット方法です。
ゼロカット・追証なしの仕組み
「ゼロカット・追証なし」とは
海外FXの「ゼロカット・追証なし」の仕組みがあるおかげで、急激な相場変動にてロスカットが間に合わずに、負債を出してしまうのを避けることができます。とくに海外FXでは、ハイレバレッジでの取引が可能となるため、もし、ゼロカットのシステムがなければ多額の負債を抱えるリスクが高くなるところです。
ロスカット
国内FXのロスカットリスク
国内FXのロスカットには「ゼロカット」は採用されていません。
これまでに、東日本大震災後、スイスフランショック、ブレグジット、米大統領選などで急激な為替変動が起こり、国内FXでロスカットが間に合わなかったケースがいくつか報告されています。
スイスフランショックの例
SNBの発表から約1分後に、ユーロ/スイスフランは1.20フランから1.03フランまで急落しました。ほんの数分の出来事です。上記はGMOクリック証券のチャートです。発表後の1分足のチャートが表示されずに窓開け状態になっています。システムが間に合わなかったためです。
東日本大震災の時のロスカット未収金件数は12,216件、総額16憶4,959万円、1件あたりの発生金額は13万5,035円。
ギリシャショックの時のロスカット未収金件数は6,087件、総額4憶8,326万円、1件あたりの発生金額は7万9,392円。
海外FXのようにロスカットに加えて、ゼロカットがあることが投資家にとっては非常に重要なポイントとなります。
ロスカットレベルの重要性
最大許容損失額
ロスカットに耐えうる最大の損失額のことを「最大許容損失額」といいます。
海外FX業者ごとに、レバレッジやロスカットレベルは異なります。レバレッジが高くてもロスカットレベルが高めの設定になっていれば、「最大許容損失額」は小さくなってしまいます。
もちろん、マージンコールを受けた時点でポジションを決済するなり、入金するなりと対処すべきではあるのですが、実状はロスカットぎりぎりまで動かない投資家の方が多いといえます。というのも、周知のごとく「損切りルール」を守ることはいかに経験を積んだとしても非常に難しいものです。
人の心理として、
「損失はできるだけ確定させたくない」
「いずれ相場は反転するにきまっている」
「自分の読みに間違いはない」
と思ってしまうからです。
従って、
海外FX業者・口座を利用した方が取引には有利です。レバレッジよりもロスカットレベルは重視すべき項目なのです。
レバレッジとロスカットレベル 最大許容損失額を比較
海外FX業者・口座ごとに異なるレバレッジとロスカットレベルを比較すると以下のようになります。
※10万円の資金で1万通貨(1ドル/100円)を取引した場合の最大損失額を算出しています。
海外FX口座 | レバレッジ | ロスカット | 1万通貨 |
---|---|---|---|
XM マイクロ口座 | 1,000倍 | 20% | 99,775円 |
XM スタンダード口座 | 1,000倍 | 20% | 99,775円 |
XM ゼロ口座 | 500倍 | 20% | 99,600円 |
AXIORY スタンダード口座 | 400倍 | 20% | 99,500円 |
AXIORY ナノスプレッド口座 | 400倍 | 20% | 99,500円 |
TitanFX Zeroスタンダード口座 | 500倍 | 20% | 99,600円 |
TitanFX Zeroブレード口座 | 500倍 | 20% | 99,600円 |
LAND‐FX Live口座 | 500倍 | 30% | 99,400% |
LAND-FX LPボーナス口座 | 500倍 | 30% | 99,400円 |
LAND-FX ECN口座 | 200倍 | 30% | 98,500円 |
FBS セント口座 | 1000倍 | 20% | 99,800円 |
FBS マイクロ口座 | 3000倍 | 20% | 99,933円 |
FBS スタンダード口座 | 3000倍 | 20% | 99,933円 |
FBS ゼロスプレッド口座 | 3000倍 | 20% | 99,933円 |
FBS ECN口座 | 500倍 | 20% | 99,600円 |
GemForex オールインワン口座 | 1000倍 | 20% | 99,800円 |
GemForex ガチゼロ口座 | 1000倍 | 20% | 99,800円 |
HotForex マイクロ口座 | 1000倍 | 20% | 99,900円 |
HotForex プレミア口座 | 500倍 | 20% | 99,600円 |
HotForex Zero口座 | 500倍 | 20% | 99,600円 |
IS6FX マイクロ口座 | 1000倍 | 50% | 99,500円 |
IS6FX スタンダード口座 | 1000倍 | 50% | 99,500円 |
BigBoss ECN口座 | 1,111倍 | 20% | 99,640円 |
iFOREX iFOREX口座 | 400倍 | 0% | 100,000円 |
ロスカットレベルが一番低い = 最大許容損失額が一番大きい
ロスカットレベルが一番低いのはiFOREXのiFOREX口座です。
レバレッジは400倍、ロスカットレベル0%、10万円の資金を使った場合に最大10万円までの損失に耐えることが可能です。
レバレッジ1000倍でもロスカットレベルが高い
例えば、IS6FXはレバレッジ1000倍でもロスカットレベルは50%です。そうなると、最大許容損失額は99,500円となり上記グラフの比較から見ればあまり高い方ではありません。
レバレッジは低めでロスカットレベルは高め = 最大許容損失額は小さめになる
LAND-FXのECN口座のように、レバレッジは200倍と低めで、ロスカットレベルが30%と高めになる海外FX口座は最大許容損失額が小さめになります。
ロスカットさえ回避できれば、「挽回のチャンスが狙える = 勝率が高い取引が実現」できるということですね。最大許容損失額を考慮して、海外FX口座を選ぶのも1つの方法です。
資金管理
ロスカットレベル、最大許容損失額と考慮したとしても、やはり最も重要なのは各自のリスクコントロール・資金管理などロスカット対策を行うことです。賢明なロスカット対策はマージンコールの時点で早めにポジションを決済するか、追加で入金してロスカットを避ける方法です。
ポジションを決済する方法
ポジションを決済する際には、
- 損失額が大きいポジションから決済する
- ロット数が大きいポジションから決済する
など、ロスカットまでの猶予が大きくなる方法を選択しましょう。
ロスカット対策用の資金を確保しておく
実際に入金した資金とは別で、ロスカット回避用の資金を必ずいくらか用意しておくようにしましょう。一時的な相場変動によってロスカットリスクが高まる局面があります。待つことで価格が持ち直すことも多いですので、臨時的に対応しなければなりません。
ぎりぎりの資金での取引は、一時的な価格変動に耐えられない可能性が高まります。つねに、急激な価格変動を乗り越えるために追加入金用の資金を用意しておく必要があります。一旦入金して、証拠金維持率が落ち着いたら、また出金して緊急用に備えておくことができます。
利益はこまめに出金しておく
また、普段のFX取引において、利益が出た時にはできるだけこまめに一部でも出金しておくようにしましょう。いざ、ロスカットに合ったとしても、過去に出金しておいた金額があれば、少額からでも敗者復活戦に臨むことができます。
まとめ
海外FXのロスカットレベル(Margin level) は証拠金維持率20%~30%が平均水準です。国内FXの50%~100%に比べるとかなり低い設定です。ただし、ハイレバレッジの取引では小さな値動きでも損失額が大きくなり、ロスカットまでのスピードが速くなるので注意が必要です。
今回解説しましたように、海外FXはハイレバレッジで国内FXよりも危険なイメージがありますが、ゼロカットシステムが採用されているため、ともすると国内FXよりも安全性は高いのだといえます。ロスカットレベルが低めの設定となることや、ゼロカットがあることが海外FXの大きなメリットになっています。
また、海外FXでは最大レバレッジを重視しがちですが、実は最大許容損失額を左右するロスカットレベルの方が重要であることがわかりました。レバレッジだけでなく、ロスカットレベルや最大損失額から海外FX口座を選ぶことも勝率をあげる要素となります。