MT4とMT5の違い・機能を比較。どちらを使うべきなのか?

海外FXではMT4とMT5の両方を提供する業者もあります。MT5はMT4がバージョンアップされたプラットフォームですが、どちらを使うべきなのか悩みますよね。単純に最新版の方が機能に優れているようなイメージがありますが、それでもMT4をあえて好む投資家もいるようです。最新バージョンのMT5も使えるのに、MT4が現在でも人気を集めているのはどうしてなのでしょうか。

それぞれの投資スタイルやトレード手法によって、取引ツールで重視する項目も異なってきます。どちらを使うべきなのかは投資家次第だともいえ、各自の判断によります。

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今回は、MT4とMT5の違い・機能を徹底的に比較していきます。ぜひ、どちらを使うべきか迷った時の参考にして下さい。

MT4とMT5の違い

MT4とMT5の違い

MT4は2005年にリリースされました。今から約16年前のシステムではありますが、定期的にバージョンアップが行われていて、現在でも最新機能を搭載したトレードプラットフォームとして高く評価されています。

MT5はMT4の機能がより洗練されて2011年にリリースされました。当然ながら、MT4の6年後に開発されたMT5はCPUやメモリのグレードがMT4よりも優れていて、快適な動作環境が好評を得ています。

システムの新しさから見れば、MT4よりもMT5の方が使いやすそうなイメージを与えますが、MT4も度重なるバージョンアップにてシステムの古さを十分にカバーしていて、動作環境にそこまで大きな違いはないといえるのが現状です。

動作環境の速さ・遅さはMT4・MT5というよりは、各海外FX業者が採用しているシステム・サーバーの質に左右されているケースが多いです。例えば、MT5でも業者が変わると動作に違いが出てきます。複数業者で同じMT4・MT5を使って比較してみるとわかると思います。

両者の目立った違いは、搭載されている機能やツールの数・種類にあるといえます。MT4ではできるけどMT5ではできないこと、MT4ではできないけどMT5ではできることなどが数点あります。

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そこで、MT4とMT5を機能やツールの数・種類、カスタマイズ性などをまずは一覧で比較していきたいと思います。

MT4・MT5 比較一覧

機能比較 MT4 MT5
動作環境 若干劣る(サーバーによる) より快適(サーバーによる)
時間足 9種類 21種類
標準搭載のインジケーター 30種類 38種類
カスタムインジケーター ほぼ無限に探せる 対応していないケースも多い
描画ツール 31種類 44種類
自動売買(EA)の種類 ほぼ無限に探せる 対応していないケースも多い
EAのバックテスト機能 使える 充実している
気配値の表示方法 2種類 4種類
板情報 なし あり
対応している海外FX業者 多い 少ない
アップデート回数 少ない 多い
経済指標カレンダー なし あり
プログラミング言語 MQL4 MQL5
スマホアプリの機能 PC版よりかなり劣る 使える機能が増える
チャートの枠外表示 外出しで表示できない 外出しで表示できる

MT4・MT5の違いを比較すると上記にようになります。

ただ、比較一覧を見ても自分にとってどうなのか判断が難しいですよね。MT4とMT5のすべての機能を使いこなす投資家は少ないと思いますので、正直なところ、どちらを選んでも満足できるトレードプラットフォームであることに間違えはありません。

MT4とMT5の最も大きな違いは?

強いて両者の大きな違いをあげるとすれば、利用できるカスタムインジケーターや自動売買の数がかなり異なる点です。

  • 豊富な種類のカスタムインジケーターを使いたい → MT4
  • 豊富な種類の自動売買を使いたい → MT4

だといえます。

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投資家それぞれにとって、魅力となる機能も変わってくると思いますので、MT4とMT5の違い、それぞれのメリット・デメリットを詳しく比較しながら解説していきます。

MT4のメリット・デメリット

MT4のメリット・デメリット
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MT4のメリット・デメリットをMT5と比較しながら解説していきます。

メリット1.カスタムインジケーターが豊富に使える

MT4が2005年にリリースされてから、爆発的に世界中で使われるようになりました。MT4がこれまでの一般的なトレードプラットフォームと一線を画していたのは、MQL4というプログラム言語を使って、自由自在にカスタムインジケーターが作成できることです。

以来、MQL4で作成されたカスタムインジケーターはMT4の普及拡大とともに膨大な数にのぼります。世界中の投資家達が作成したオリジナルのカスタムインジケーターが、それこそ無限に探すことが可能です。

カスタムインジケーターとは?

カスタムインジケーターとは、投資家が独自のトレード視点からチャート分析を行うために作成されるインジケーターのことです。

カスタムインジケーターには、既存のインジケーターに機能を追加したものや、既存のインジケーターを複数組み合わせたもの、全く異なる視点からチャート分析が行えるものなど、多種多様なタイプがあります。

MT4のインジケーターはMT5では使えない

MT5ではプログラム言語がMQL5へと変わり、MQL4との互換性がないことが欠点となっています。MT5が2011年にリリースされたものの、リリース後も引き続きMT4を使い続ける投資家が多かったようです。

MT4のカスタムインジケーターが使えないことから、現在でもMT4の支持率は全く弱まっていない状態なのです。

世界全体で約80%のFX業者がMT4を採用

MT4は世界で最も使われているトレードプラットフォームです。

ファイナンス・マーケティングリサーチ社のFINANCE FEEDSによると、2019年6月の時点でMT4を採用しているFX業者は世界で1,231社です。その数は、世界全体のFX業者の約80%にあたるとのことです。いいかえれば、世界のFXトレーダーの80%がMT4を使っているとも解釈できます。

利用できるカスタムインジケーターの数がMT5とは比にならない程多く、拡張性の高さ・可能性からMT4が選ばれています。

メリット2.自動売買(EA)がほぼ無限に選択できる

カスタムインジケーターと同じことが自動売買でもいえます。プログラミング言語MQL4で、自動売買プログラムの作成が可能なこともMT4がここまで世界的に普及した理由の1つとなっています。

2005年のMT4リリース後から、圧倒的な数の自動売買プログラムがMQL4で作成されています。MQL4で作成された自動売買であれば、いくらでもMT4にインストールして利用することができます。どれくらいの数の自動売買プログラムがあるのかは、カウント不可能で未知数です。

幅広い選択肢が魅力

すでに、MT4に標準搭載されている自動売買だけでも140種類近くあります。ネット検索すれば、各自の要望に合ったタイプの自動売買プログラムを世界中から探せることが大きなメリットです。日本語の検索だけでも、かなりの種類があることがわかります。

MT4で使える自動売買プログラムには無料のものも多く、有料の場合でも予算に合った価格帯から選べます。

その他のトレードプラットフォームやMT5とは桁違いの幅広い選択肢から、自動売買プログラムが選べることがMT4の魅力になっています。

メリット3.海外FX業者の選択肢が拡がる

そして、MT4のもう1つの大きなメリットは、採用する海外FX業者がMT5よりも断然多いことです。MT5が使える海外FX業者は徐々に増えてはいますが、まだ採用していない業者もあります。

MT5が使えることを重視するなら、選べる海外FX業者は限定されてしまいます。しかし、MT4であればほとんどの海外FX業者が採用しているので、選択肢がぐっと拡がります。

スプレッドや約定率、ボーナスやキャンペーン、最低入金額、レバレッジ、入出金方法など、様々な視点から比較検討していけます。

海外FX業者の選択肢が拡がることで、それぞれにとって最適な海外FX業者が選びやすくなるといえます。

デメリット1.システム上の限界がくるかもしれない

世界を風靡しているMT4ですが、すでにリリースから16年が経っています。システム開発的に見れば、16年といえば大きな隔たりがあることは否めません。

  • MT4 → 32bit
  • MT5 → 64bit

PC・スマホなども年々新しいCPUやメモリが搭載され、古いシステムが使えなくなったりとITシステムも日々変化していきます。動作環境やシステムの互換性などの問題から、MT5へと移行する投資家が今後は増えてくるかもしれません。または、先々では時代の流れに応じて最新システム搭載のMT6がリリースされないともいえず、いずれはMT4の限界がくるだろうと予想されます。

早めの時点でMT5・MQL5も使えるようになっていた方が、結局は役に立つ可能性があります。

デメリット2. スマホアプリの機能性が劣る

MT5に比べると、MT4はスマホアプリの機能性・カスタマイズ性が低いことがデメリットです。

例えば、チャートは1枚しか同時表示できませんし、使えるインジケーターや描画機能も少なく、注文機能も限られています。FX取引に最低限で必要な機能がシンプルにまとまっているのがMT4スマホアプリの特徴です。

ほとんどの投資家がMT4をPCメインで使っていると思いますので、補足ツールとしてはスマホアプリでも十分な機能だとといえるのですが、MT5の方がスマホアプリは数段使いやすくなります。

スマホアプリはMT4よりもMT5の方が使いやすい

デメリット3.標準搭載の機能はMT5より劣る

カスタムインジケータや自動売買は、ほぼ無限に拡張できるMT4ですが、標準搭載されている機能はMT5よりもMT4の方が若干劣ります。

  • 時間足 → MT4/9種類、MT5/21種類
  • 描画ツール → MT4/33種類、MT5/44種類
  • EAのバックテスト機能 → MT4/標準レベル、MT5/充実・高レベル
  • 板情報 → MT4/なし、MT5/あり
  • 経済指標カレンダー → MT4/なし、MT5/あり
  • チャートの枠外表示 → MT4/外出しできない、MT5/外出しできる

など

カスタムインジケーターでカバーできる機能もありますが、システム上対応しようがない機能もあります。また、標準搭載で使用していく際には上記の機能がどうなのかが、MT4・MT5を選ぶ基準の1つになるでしょう。

チャートの枠外表示

中でも注視しておきたいポイントは、MT4はチャート画面をMT4の枠内から出すことができません。このことに不便な思いをしている投資家は結構多いと思います。

MT5なら、チャート画面をMT5の枠外に表示させることが可能なので、複数のチャートを同時に見たい時や、限られたPC画面のスペースを効率よく使いたい時には便利です。

標準搭載の機能はMT4はMT5よりも若干劣ることがMT4のデメリットです。

MT5のメリットデメリット

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次に、MT5のメリット・デメリットをMT4と比較しながら見ていきましょう。

メリット1.MT4の優れた機能がグレードアップされている

MT5は世界的な人気を誇るMT4が基盤になっています。ただでさえ機能に優れたMT4がさらにパワーアップされているトレードプラットフォームです。MT4の優れた機能がほとんどそのまま移行されているだけでなく、機能がグレードアップされていることがMT5の大きな魅力だといえます。

時間足

MT4

1分足、5分足、15分足、30分足、1時間足、4時間足、日足、週足、月足(9種類)

プラス注文画面と気配値画面にてティックチャートが見れます。

MT5

1分足、2分足、3分足、4分足、5分足、6分足、10分足、12分足、15分足、20分足、30分足、1時間足、2時間足、3時間足、4時間足、6時間足、8時間足、12時間足、日足、週足、月足(21種類)

プラス注文画面と気配値画面にてティックチャートが見れます。

気配値の表示方法が4種類

MT4
  • 通貨ペア一覧
  • ティックチャート
MT5
  • 通貨ペア一覧(MT4と同じ)
  • 詳細(通貨ペアの取引状況の詳細が見れる)
  • プライスボード一覧
  • ティックチャート

チャート画面の枠外表示が可能

MT4ではできなかったチャート画面の枠外表示がMT5では可能です。

チャートを右クリックして「ドッキング」を選択すると、チャート画面をMT5の枠外に外出しで表示できます。

MT4にプラスアルファの機能・利便性が加えられていることがMT5の最大のメリットです。

メリット2.スマホアプリの機能性がMT4よりも優れている

シンプルでベーシックな機能しか搭載されていなかったMT4のスマホアプリが、MT5では付加機能が追加され使いやすくなっています。

    • 通貨ペアの詳細の情報が多い
    • チャート画面は2枚同時表示できる
    • インジケーターチャートのサイズが調整できる
    • ポップアップ画面で設定できる
    • お気に入りオブジェクトの保存や使用履歴が確認できる
    • 注文方法が6種類(MT4は4種類)
MT5のスマホアプリの方が総合的に機能に優れています。

メリット3.MT4よりも長く使える可能性が高い

MT5はMT4のリリースから6年後に開発されたトレードプラットフォームです。単純に、MT4よりも最新のシステムとなるため、MT4よりは長くFX業界で使われる可能性が高いです。現時点では、先述したようにMQL4の関係からMT4がまだまだ主流となっていますが、MT5を採用する海外FX業者や投資家も徐々に増えてきています。

MT5は64bit搭載となるため動作が軽いことはいうまでもなく、EAのバックテストではMT4でかかる所要時間が大幅に短縮されることが確認されています。さらにグラフによる分析やフォワードテスト機能が使えるなど、バックテストの質が高いことが評価されています。

MQL5を利用してインジケーターや自動売買を作成する投資家がMT4並みに増えてくれば、古いシステムで機能が若干劣るMT4を使い続ける理由がなくなってしまいます。

いずれは、MT4から新しいシステムのMT5へと本格的に移行する動きが見られるかもしれません。

デメリット1.利用できるカスタムインジケーターが少ない

MT5がMT4ほど普及が進まない理由は、先述したようにMT4のカスタムインジケーターが挿入できないことが1つです。

MT5では利用できるカスタムインジケーターが、まだ少ないため、標準搭載以外で自分仕様にチャート分析ツールを揃えたい時には不便です。MT4なら実に多種多様のインジケーターが利用できます。

とくに、日本語のみでMT5のカスタムインジケーターを探すとすれば、かなり数は少なくなってしまいます。

デメリット3.自動売買(EA)の選択肢が少ない

カスタムインジケーター同様に、自動売買(EA)の選択肢が大幅に少なくなることがMT5のデメリットです。

自動売買(EA)を利用したい、あるいは作成したい投資家の多くが、利便性の高さや流通の多さからどうしてもMT4を選びがちです。それが悪循環となり、ますますMT5の利用者が伸び悩む要因となっています。

MT5では、無料の自動売買(EA)も数が少なくなり、投資経験が長い上級者トレーダーほどMQL4を使う傾向にあるため、プログラムのレベルもMT4より劣るものが多い可能性があります。

選べる自動売買(EA)が少なくなることがMT5の大きなデメリットです。

デメリット3.MT5を採用していない海外FX業者も多い

MT5を採用する海外業者は増えてきていはいますが、やはりMT4が主流です。ほぼ90%以上の海外FX業者がMT4を採用していて、まだMT5を採用していない海外FX業者も多いです。

MT4なら、どの業者を選んだとしても同様にMT4・MQL4が使えるので、データの管理やインジケーター・自動売買の共有も容易です。しかし、せっかくMT5・MQL5を使い始めたとしても、利用したい海外FX業者がMT4しか提供していない場合は不便です。

MT5が使えることを条件に海外FX業者を選ぶとれば、ある程度選べる海外FX業者が限定されてしまいます。

どちらを使うべきなのか

MT4とMT5のどちらを使うべきなのかは、「カスタムインジケーター」「自動売買」「標準搭載の機能の数」にこだわるかどうかがポイントとなります。

MT4がおすすめの人
  • 豊富なカスタムインジケーターを使いたい
  • カスタムインジケーターを作成して販売したい
  • 自動売買をより多くの種類から選びたい
  • 自動売買を作成して販売したい

のであれば、MT4の方がおすすめです。

MT5がおすすめの人
  • 時間足は多い方がいい
  • 拡張機能は使わないと思うので標準搭載の機能が多い方がいい
  • 板情報を見たい
  • チャートを枠外に出して表示したい

のであれば、MT5がおすすめです。

確かにMT5の方が利用できる機能は多いのですが、MT4でも十分に高い機能を有しています。どちらを選んだとしても性能の高さにはあまり変わりはありません。

「カスタムインジケーター」「自動売買」「標準搭載の機能の数」にこだわらないのであれば、MT4でもMT5でもどちらを選んだとしても満足できるでしょう。
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これからMT4・MT5を使われる方は、以下の記事でインストールから使い方までを詳しく解説しています。ぜひ、参考にして下さい。

まとめ

まとめ

MT4とMT5の大きな違いは、

  • 利用できるカスタムインジケーターの数 → MT4が多い
  • 利用できる自動売買の数 → MT4が多い

この2つです。

あとは、

  • 採用している海外FX業者の数 → MT4が多い
  • 標準搭載の機能 → MT5の方が充実

の2点が気になるポイントとなります。

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MT4もMT5も同様に機能に優れたトレードプラットフォームです。基本的な機能や使い方は同じです。カスタムインジケーターや自動売買、標準搭載機能の数にこだわらないのであれば、どちらを選ぶべきかあまり気にしなくてもいいでしょう。

ただ、MT4からいずれは徐々にではありますがMT5の方に移行していくことも予想されます。悩んだ時は、ひとまずは新しい方のMT5を使ってみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人投資家、ライター、アナリスト。海外メディアを駆使した市場リサーチが強み。副業トレーダーを経て、フリーランスとして独立。 株式投資、FX、金プラチナ、債券、外貨預金、ETF・投資信託、不動産などの分散投資を得意とする。