MT4とは?MT4と国内FX業者のトレードプラットフォームの違い

MT4は世界中で使われている人気のトレードプラットフォームです。海外FXではほとんどの業者にてMT4が採用されています。国内FXではMT4を採用している業者は少ないため、MT4のことをよく知らない方も多いのではないでしょうか。

国内FXのトレードプラットフォームは各社が開発した独自のシステムが採用されています。FX業者ごとにトレードプラットフォームの機能や使い勝手が異なり、違う業者で口座を開設するたびに、使い方を覚えなければなりませんよね。

海外FXなら共通してMT4が使えるので、操作方法を一度覚えてしまえば、どの海外FX業者を選んだとしてもすぐに取引が可能です。

MT4とはどのようなトレードプラットフォームなのか、国内FXのトレードプラットフォームとどのように違うのか、そして、なぜ国内FXではMT4を採用する業者が少ないのかなどと疑問に思う方もいるでしょう。

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それらの疑問に答えるために、今回はMT4について、国内FX業者のトレードプラットフォームと比較しながら解説していきます。ぜひ、参考にして下さい。

MT4とは?

MT4とは?
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まずは最初に、そもそもMT4とは何なのかから詳しく解説していきます。

MT4とはそもそも何なの?

MT4とは、

MetaTrader4を略したもので、電子商取引専用のFXトレードプラットフォームのことです。電子商取引とはインターネット上の商取引のことで、FXの場合は、世界の外国為替取引所(インターバンク市場)にオンラインでアクセスして取引する仕組みのことをいいます。
MT4は世界で最も使われているプラットフォームです。ファイナンスリサーチを行うFINANCE FEED社によると、2019年の時点で導入しているFX業者は世界で1,231社に及びます。その数は、世界全体のFX業者の約80%にあたるとのことです。
1社あたりで数万~数十万のユーザーがいて、多い場合は数百万のユーザーがいると考えれば、圧倒的な数のユーザーによって使われていることがわかりますよね。

MetaTrader4を開発した会社

MetaTrader4を開発した会社

MetaTrader4を開発したのは、キプロスに本社を持つソフトウェア会社のMetaQuotes社です。主に金融サービスに特化したプラットフォームを中心に開発を行っています。

MetaQuotes社は2000年にロシアで設立、2000年といえば、ちょうど世界的な規模でネット証券やネットバンキングなどのオンライン取引が普及し始めた頃です。MetaQuotes社の数々の革新的なトレードプラットフォームは、世界中で話題を呼びました。MetaQuotes社のトレードプラットフォームに普及拡大にともなって、会社の規模も拡大していき海外進出が図られました。

現在は、大手ソフトウェア企業として欧米、アジア、オセアニア、中東とグローバルに展開しており、金融業界では有名な存在です。とくに、MetaTrader4はMetaQuotes社のプラットフォームの中でも評価が高く、世界中で最も利用されているFXトレードプラットフォームとなります。

2015年には、MetaQuotes社の日本法人「MetaQuotes Software Japan」も設立されています。

MetaTrader4の歴史

MetaTrader4というくらいだから、1や2や、5とか6もあるのかと気になりますよね。MetaTraderの歴史を軽く見ていきましょう。

MetaTraderの初版は、2000年の「FX Charts」と呼ばれるトレードプラットフォームです。「FX Charts」は当時のプラットフォームの中では高機能でも低価格で導入できることが注目されました。これがMetaTrader1にあたります。

翌年の2001年には「MetaQuotes」という新しいプラットフォームが登場しました。MetaTrader2にあたるプラットフォームですね。「MetaQuotes」は初版の不足点を見事にカバーした機能が実装され、CFD取引や自動売買ストラテジーが作成できるようになりました。

次に、初めてMetaTraderという名称のプラットフォームが2003年に誕生しました。3版目のプラットフォームであることから「MetaTrader3」としてリリースされました。「MetaTrader3」ではモバイル端末でも使える仕様となりました。

そして、いよいよ世界一のプラットフォームだといわれる「MetaTrader4」が2005年に、20か月の開発期間を経てリリースされたのです。

現在はMetaTrader4が主流ですが、MetaTrader4をバージョンアップしたMetaTrader5も2011年にリリースされています。海外FXでも、徐々にMetaTrader5が使える業者が増えてきています。

国内FXのトレードプラットフォームとMT4の違いは?

国内FXのトレードプラットフォームとMT4の違いは?
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国内FXで各社が提供しているトレードプラットフォームとMT4とは決定的な大きな違いがあります。

国内FXと海外FXのトレードプラットフォームの決定的な違いとは何なのかを解説していきます。

インターバンク市場へのアクセス

MT4が国内FXトレードプラットフォームと大きく異なるのは、インターバンク市場(外国為替取引所)に直接アクセスできる点です。

「えっ?国内FXのプラットフォームはアクセスできないの?」と驚く方もいると思います。

国内FXのプラットフォームは為替市場にアクセスできない

国内FXのプラットフォームはインターバンク市場(外国為替取引所)にアクセスできません

国内FXの場合は、実は店頭取引(相対取引)と呼ばれる取引方法となり、インターバンク市場にアクセスして取引するわけではなく、FX業者の窓口にて注文しているようなものです。わかりやすくいうと、銀行の窓口でする外貨両替をオンラインでしているようなイメージです。

海外FXではFX業者との相対的な取引となるわけです。

インターバンク市場にアクセスできるのか、できないのかが海外FXMT4と国内FXプラットフォームとの決定的な違いです。
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海外FXのMT4は直接市場にアクセスできて、国内FXではアクセスできないのは、海外FXと国内FXで採用している取引方式が全く異なるからなのです。どういうことなのか、詳しく解説していきます。

DD方式とNDD方式

国内FXプラットフォームとMT4が大きく異なる理由は、

  • 国内FXはDD方式
  • 海外FXはNDD方式

と呼ばれる取引方式を採用しています。NDD方式とDD方式とはどのような取引方式になるのかを見ていきましょう。

国内FXのDD方式とは

国内FXの「DD方式」とはDealing Deskを略したもので、「呑み取引」と呼ばれている店頭取引でのFXサービスのことをいいます。

「呑み取引」とは、

FX業者が顧客からの注文を呑んで、実際にはインターバンク市場では取引しない取引方式のことをいいます。注文で預かった金額は国内FX業者内にて保留状態になっているわけです。
「呑み取引」では、
  • 顧客が損をすると戻すお金は少なくて済む (投資家が損すると国内FX業者は儲かる)
  • 顧客が利益を出すと戻すお金が多くなる (投資家が稼ぐと国内FX業者は損する)

という仕組みになりますので、「投資家とFX業者の利益は相反する」関係にあります。

なぜ、世界の80%のFX業者が導入しているMT4を国内FXでは使わないのかというと、「呑み取引」が国内FX業者の収益源となっているからなのです。MT4はサーバー自体がインターバンク市場に直結するシステムなのでMT4を採用すると「呑み取引」でのFXサービスが提供できなくなります。

国内FX業者は、「呑み取引」にてFXサービスを提供するために、自社でそれぞれ独自のトレードプラットフォームを開発しているのです。(外資系のFX業者など一部の国内FX業者ではMT4を提供しています。)
不透明さが残る国内FXのトレードプラットフォーム

国内FXのトレードプラットフォームでは、インターバンク市場にアクセスしてFXトレードをするわけではないので、ある種の不透明さが残ります。

例えば、

  • 為替レート操作
  • 約定拒否(リクオート)
  • スリッページ
  • ロスカット狩り

など、国内FX業者は自社内のシステムで取引を管理していますので、故意に操作しようと思えば可能なのです。国内FX各社のスプレッドが狭くできるのも、DD方式だからなのです。

海外FXのDD方式とは

一方、海外FXの「DD方式」とはNo Dealing Deskを略したもので、海外FX業者は注文・売買には介入しないFXサービスのことです。

「DD方式」では、

投資家はMT4を介して、インターバンク市場にアクセスできます。投資家の注文はインターバンク市場に直接流れて取引されます。

海外FX業者はほとんどがMT4を採用 = DD方式 となります。

海外FX業者の収益源はスプレッドになりますので、投資家が稼いで取引を増やすほどに儲かる仕組みになっています。つまり、「投資家と海外FX業者の利益は比例する」関係にあるのです。

「呑み取引」を行わない海外FX業者は、総じてMT4を採用しています。海外FX業者にしてみれば、容易に高機能のトレードプラットフォームが導入できるのに、自社で費用をかけて用意する必要はない、といった感覚でしょう。
透明性が高い公正な海外FXのトレードプラットフォーム

MT4は直接インターバンク市場にアクセスして取引しますので、FX業者の介入がありません。透明性が高く公正なトレードプラットフォームだといえます。そのかわり、リアルタイムのスプレッドには一定の比率で手数料が上乗せされるため、スプレッドは広めの設定になっています。

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というように、国内FXと海外FXでは業者が採用する取引方式が異なるため、必然的にプラットフォームも違ってくるのです。

MT4の機能を国内FXと比較

MT4の機能を国内FXと比較
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では、次に世界で高く評価されているMTの機能について国内FXと比較しながら解説していきます。

MT4の特徴

MT4が世界中で普及拡大したのは、その機能性の高さにあります。投資機関などのプロも愛用するMT4は、

  • 充実したテクニカルツール
  • カスタマイズ性が高い
  • 拡張機能に優れている
  • 自動売買システムが利用できる
  • 自動売買プログラムの作成が可能

などの機能が使えます。

充実したテクニカルツール

まず、MT4はすでに標準で内蔵されているインジケーターが約60種類近くあります。それ以外でも、海外FX業者が独自で挿入しているインジケーターや自作・他作のカスタムインジケーターをMT4に取り込むことができます。ほぼ無限に近いインジケーターが使えるのです。

トレンド系オシレーター系のインジケーターに加えて、各種ライン・テキスト・矢印などの描画機能も豊富です。充実したテクニカルツールにて高度なテクニカル分析が実現します。

国内FXプラットフォームのテクニカルツール

国内FXでは、インジケーターは多い場合で54種類。あとは25~35種類あたりが平均的で、少ない場合で20種類程度です。他からのインジケーターの挿入はできません。各種ライン、テキストなどの描画機能は業者ごとに差がありますが、MT4ほどの機能は使えません。

カスタマイズ性が高い

また、MT4はチャートの同時表示数やサイズ、レイアウトなど自分で自由自在に設定・調整できるので、かなり細かくカスタマイズできます。MT4の枠から小ウィンドウを取り出すことはできませんが、MT4の枠内であれば多種多様にアレンジしていけます。

1つのチャートを最小限に小さくすれば30枚程度のチャートが一斉表示できます。複数画面の起動も可能でマルチモニターにも適しています。

国内FXプラットフォームのカスタマイズ性

国内FXプラットフォームの場合、最大に表示できるとしても16枚です。また保存できる画面パターンも数が限られています。レイアウに関しては自由自在にカスタマイズできるプラットフォームもあり、小ウィンドウのみ枠内から取り出して表示できるものもあります。

拡張機能に優れている

拡張機能に優れている点もMT4ならではの特徴です。MT4のAPI機能にて、新しい機能を自分で構築したり、MT4を他のツールやWebサイトと連結させたりとほぼ無限に機能を拡張していけます。また、MT4マルチターミナルを使えば、複数のMT4口座を1つのプラットフォームで管理することも可能です。

国内FXプラットフォームの拡張機能

国内FXプラットフォームは基本的にすでに搭載されてある機能以外をプラグインすることはできません。他社のソフトウェアやツールの挿入は禁止されています。

自動売買システムが利用できる

またMT4の魅力となっているのが、自動売買システム(EA)が無数に提供されていることです。世界中の投資家が開発したプログラムが無料・有料で使えます。標準搭載が100~200種類程度。他からの挿入も可能なので幅広い選択肢から自動売買が選べます。また投資家自身で自動売買プログラムの作成も可能です。

国内FXプラットフォームの自動売買

国内FXプラットフォームの自動売買は業者ごとに、選択型、リピート型など自動売買の種類が限られています。選択型の場合で、一番種類が多いのが数百種類から選べるミラートレーダー。他からの自動売買システムの挿入はほとんどのFX会社で禁止されています。

自動売買プログラムの作成が可能

MT4ではメタエディターMQLを使って、自動売買を自分で作成することができます。メタエディタ―MQLはMT4をインストールした時に自動的に一緒にインストールされます。MT4のメニューからもアクセスできます。MQLのエキスパートアドバイザー・テンプレートにMQLと呼ばれる言語を使って各種設定をプログラミングします。

国内FXプラットフォームの自動売買プログラミングの作成

国内FXでは、各自で自動売買プログラムの設定が可能なFX業者は少ないです。リピート型自動売買にて、簡単な条件設定ができるケースはありますが、各種設定をプログラミングにて行えるFX業者はごくわずかです。

MT4のメリットデメリット

MT4のメリットデメリット
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最後にMT4のメリット・デメリットをまとめておきました。

MT4のメリット

  • 世界で最も使われている人気のFXプラットフォーム
  • ほとんどの海外FX業者で採用している
  • インターバンク市場にアクセスして取引できる
  • 優れたテクニカルツールや拡張性を有している
  • 細かいカスタマイズが可能
  • 複数画面の起動も可能
  • 拡張機能を使って性能・機能を無限に拡大できる
  • 世界中の自動売買システムがほぼ無限に選択できる
  • 自分で自動売買の作成も可能
  • マルチターミナルで複数のMT4を一括管理できる

MT4の最大のメリットは、標準の状態でもかなり優れた機能が搭載されているうえに、ほぼ無限に機能を拡大していけることです。各自の戦略に沿って高度なテクニカル分析が実現できます。

また、ほとんどの海外FX業者にて共通してMT4が使えるので、一度操作方法を覚えれば、あとはどの業者を選んだとしても簡単にMT4が操作できます。国内FXのように、業者ごとにトレードプラットフォームの使い方を覚える必要がないので複数口座の併用も容易となります。

MT4のデメリット

  • 高機能なだけに操作方法が難しい
  • チャート画面の保存・管理がややこしい
  • 小ウィンドウはMT4の枠外には出せない
  • 同じMT4でも業者ごとに表示速度や約定などの性能は異なる
  • モバイル版はそこまで性能は高くない

MT4のデメリットは、多種多様な機能があるためメニューの構成も複雑で操作方法が難しいことです。中級者以上の投資家でも、初めてのMT4には戸惑うことも多いかもしれません。FX初心者にはおすすめできないトレードプラットフォームです。

最低限のシンプルなトレードプラットフォームが使いたい方や、テクニカルを重視しない方、スマホでの取引がメインの方などは、MT4よりはむしろ国内FXのトレードプラットフォームの方が満足できるでしょう。

まとめ

まとめ

MT4は世界中で最も使われているFXトレードプラットフォームです。ほとんどの海外FX業者では共通してMT4(またはMT5)が採用されています。

MT4が国内FXのトレードプラットフォームと決定的に異なるのは、インターバンク市場に直接アクセスしての取引となる点です。国内FXでMT4が普及していないのは、国内FXではDD方式(呑み取引)が主流となっているからです。

  • 海外FX → MT4(インターバンク市場での取引)
  • 国内FX → 自社開発のトレードプラットフォーム(店頭取引・呑み取引)
海外FXのMT4はNDD方式となり、透明性が高く公正な取引であることが国内の投資家達から高く評価されています。
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さらに、MT4の最大のメリットとは、無限に拡張していける機能性の高さです。インジケーターも自動売買もその他便利なツールもMT4に他からいくらでも取り入れることが可能です。すでに標準搭載の状態でも十分に高い機能を備えていることが魅力です。

高機能であるがゆえ、使いこなすには若干の時間を要すのがデメリットですが、世界中が認める優れた機能にてFXトレードを最大限にサポートしてくれるでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人投資家、ライター、アナリスト。海外メディアを駆使した市場リサーチが強み。副業トレーダーを経て、フリーランスとして独立。 株式投資、FX、金プラチナ、債券、外貨預金、ETF・投資信託、不動産などの分散投資を得意とする。