海外FXのスプレッドの特徴・種類とは?国内FXのスプレッドとの違いを比較して解説

海外FXのスプレッドの特徴は国内FXよりも広めの設定になっていることです。国内FXのスプレッドは最狭レベルのFX会社だとドル/円の場合で0.2pips程度ですよね。海外FXだと狭めでも1.2pips程度

海外FXで国内FXの感覚でトレードしてしまうと、スプレッドの広さに戸惑う投資家も多いようです。とくにスキャルピングやデイトレードなどの短期取引ではスプレッドの広さが利益に大きく影響してしまいます。

しかし、スプレッドが広めでも海外FXを利用するメリットも多く、海外FX業者によってスプレッドも異なります。また、手数料はかかりますがスプレッドが最狭のECN口座を利用する方法もあります。

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今回は海外FXのスプレッドの特徴や種類など詳しく解説していきます。国内FXのスプレッドとの違いも比較していきますので、ぜひ参考にして下さい。

FXのスプレッドとは

FXのスプレッドとは

FXでは約定力やスワップポイントの高さに並んで、スプレッドの狭さがよく話題になっています。スプレッドは狭いに越したことはないと思いつつも、あまり気にしたことがない投資家もいるでしょう。

スプレッドとは

「買値」と「売値」の差額のことです。為替レートはつねに買値と売値の両方が提示されています。
全く同じタイミングで売買したとしても、「買値110.5円」「売値110.2円」などと価格が異なります。

スイングトレードや中長期トレードでは、大きめの値幅を時間をかけて狙いますので、スプレッドの大小はあまり気にする必要はありません。

ただし、このスプレッドはスキャルピングやデイトレードなどの短期トレードではとても重要になってきます。スプレッドの広さ・狭さがダイレクトに利益を左右していきます。

スプレッドは狭い方がいい?

投資スタイルによっては、スプレッドは非常に重要なポイントとなってきます。取引時間が短くなるほど、スプレッドの影響力が大きくなっていきます。

分速・秒速で売買していくスキャルピングでは、スプレッドの狭さや約定力の高さは必須です。デイトレードでもスプレッドが狭い方が利益が出しやすくなります。
もともと、為替レートは「買値」よりも「売値」が安い設定です。買った時点ですでに売値はマイナスとなる仕組みになっています。スプレッドが広くなるほど、購入時から売値がプラスとなるまでに時間がかかるため、効率が悪くなってしまうのです。

スプレッドはコストとして考える

FX投資家の多くは、スプレッドをコストとして捉えています。

海外FXでも国内FXでも、基本的にFX取引に手数料はかかりません。FXは確かに手数料は無料で取引できるのですが、その分スプレッドにて一定の金額が売買の度に差し引かれています。

スプレッドが狭い = トレードコストが安い(利益が出しやすい)
スプレッドが広い = トレードコストが高い(利益が出しづらい)
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できるだけ短期間・短時間で利益を狙っていきたい方は、スプレッドが狭いFX会社を利用した方が有利なのです。

海外FXと国内FXのスプレッドの違い

海外FXと国内FXのスプレッドの違い

それでは海外FXのスプレッドは国内FXとどのように異なるのか、比較しながら特徴や種類を詳しく見ていきましょう。

海外FXと国内FXのスプレッドの平均

通貨ペア 海外FXのスプレッド平均 国内FXのスプレッド平均
USDJPY   1.4~1.8pips   0.3~0.6pips
EURJPY   1.5~2.0pips   0.5~1.0pips
GBPJPY   1.8~2.5pips   1.0~1.8pips
AUDJPY   1.7~2.3pips   0.7~1.3pips
CADJPY   2.0~3.0pips   1.7~2.5pips
EURUSD   1.5~2.0pips   0.5~1.0pips
AUDUSD   1.8~2.5pips   0.9~1.5pips

海外FXも国内FXもFX会社によって平均スプレッドは異なるのですが、概ねのところでは上記のようなスプレッド値になります。

全体的な平均スプレッドは両者を比較した場合

  • 海外FXは広め
  • 国内FXは狭め

という設定になっています。

海外FXのスプレッドの特徴

海外FXのスプレッドの特徴

海外FXのスプレッドの特徴をまとめると、

  1. 海外FXのスプレッドは全体的に国内FXよりも広め
  2. 海外FXのスプレッドは変動型
  3. 手数料有料にて最狭スプレッドのECN口座が利用できる

以上3つが抑えておきたいポイントです。

1.スプレッドによるコストの違いを比較

海外FXのスプレッドは広めの設定になっています。そこで、スプレッドの違いによってどれくらいコストが変わってくるのかを比較していきます。

例えば、米ドル/円で取引した場合で計算してみましょう。

国内FXの米ドル/円のスプレッドコスト

国内FXの米ドル/円の平均スプレッドは0.3~0.6pipsです。スプレッド0.3pipsでかかるコストは取引通貨数によって以下のようになります。

0.3pips × 1,000通貨 = 3円(コスト)

0.3pips × 10,000通貨 = 30円(コスト)

0.3pips × 100,000通貨 = 300円(コスト)

海外FXの米ドル/円のスプレッドコスト

海外FXの米ドル/円の平均スプレッドは1.4~1.8pipsです。スプレッドが1.4pipsの時にかかるコストは以下のようになります。

1.4pips × 1,000通貨 = 14円(コスト)

1.4pips × 10,000通貨 = 140円(コスト)

1.4pips × 100,000通貨 = 1400円(コスト)

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たった1度の取引であれば大きな金額ではないのですが、10回、20回と取引を重ねるごとにコストが増幅していきます。スプレッドコストがかかることが海外FXのデメリットの1つなのです。

2.変動型と固定型

海外Xのスプレッドは変動型が多いのがもう1つの特徴です。一部の海外FXでは変動型スプレッドか固定型スプレッドの選択が可能です。

一方で国内FXでは固定型スプレッドが一般的に採用されています。ここでは変動型と固定型のスプレッドについて解説していきます。

変動スプレッドとは
変動スプレッドは、その時の市場動向によってつねにスプレッドが変動していくタイプです。

海外FX業者は複数のリクイディティ・プロバイダーを利用しています。タイミングによって投資家の注文に有利なリクイディティ・プロバイダーと為替レートが異なるためスプレッドが変動しやすい仕組みになっているのです。

固定スプレッドとは
固定スプレッドは、基本的に決まったスプレッド幅がつねに採用されるタイプです。

国内FX会社の場合は固定スプレッドが多くなります。というのも国内FXはDD方式といって顧客の注文は市場ではなく自社内で処理される仕組みになっています。この方式は呑み取引とも呼ばれるシステムで、FX会社自身で為替レ―トの設定・提示ができるためスプレッドを固定化しやすいのです。

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国内FXでは原則固定スプレッドとなり、その時の市場動向によってスプレッドが動くこともあります。海外FXは基本的NDD方式となり注文が直接市場に流れる仕組みになっているためスプレッドが変動しやすいのです。

最狭スプレッドのECN口座

海外FXのスプレッドでもう1つ抑えておきたいことは、海外FXでは手数料が有料のECN口座で最狭スプレッドでの取引が可能になることです。

海外FX会社には「STP口座」と「ECN口座」と大きく2つのタイプの口座があります。

STP口座とは
STP口座とは注文方法にSTP方式が採用されている口座のことです。STP口座では、投資家の注文は自動的に海外FX会社が提携しているリクイディティ・プロバイダーに流れる仕組みになっています。
STP口座とは
リクイディティ・プロバイダーとは為替市場に参加している銀行などの金融機関のことです。各金融機関ごとに通貨の取引レートはつねに変動していて、注文を出すごとにマッチングする金融機関が変わってきます。
投資家が海外FXのSTP口座で出した注文は、海外FX業者のサーバーを介して、一番有利な金融機関へと流れて注文が成立します。この時に海外FX業者への手数料が為替レートに上乗せされていますが、仕組み上は手数料無料となっています。
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つまり海外FXのスプレッドには海外FX業者への実質の手数料が含まれているということです。手数料の比率が海外FX業者によって異なるため、業者ごとにスプレッドにも大きな差が出てくるのです。
ECN口座とは
ECN口座とは手数料が課されて、狭いスプレッドで取引ができる海外FX口座のことです。ECN口座では「買値」と「売値」が合致した時点で注文が成立するECN方式が使われています。
ECN口座とは
ECN方式は国内株式の注文のように、買値と売値が合致したところで始めて取引が成立する方法です。投資家はそれぞれ、為替市場に直接参加して売買先の金融機関が選べるイメージです。
従ってECN方式では予想外に大きくレートがずれることもなく、狭いスプレッドにて売買できる環境にあります。
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狭いスプレッドにて有益な取引ができる代わりに、海外FX業者は手数料を課しています。
手数料は海外FX業者によって差があり、片道1ロットあたり4ドル~5ドルの手数料が平均的です。

海外FXのスプレッドが拡がる理由は?

海外FXのスプレッドが拡がる理由は?
海外FXでスプレッドが拡がる理由を詳しく解説していきます。スプレッドが拡がるのは確かに取引には不利ですよね。ただ、理由を知ることで必ずしもネガティブな側面だけではないことがわかります。
国内FXのスプレッドが狭めで、海外FXのスプレッドが広めになるのは、先にも軽くふれましたがFX業者が採用している取引方式の違いが起因しています。
  • 国内FXではDD方式と呼ばれる取引システムを採用
  • 海外FXではNDD方式と呼ばれる取引システムを採用
では、DD方式、NDD方式とはそもそもどのような仕組みになっているのか詳しく解説していきます。

国内FX:DD方式

国内FXが採用しているDD方式とは、Dealing Desk(ディーリングデスク)を略したもので、店頭取引、相対取引、呑み取引とも呼ばれている取引方式のことです。

DD方式では、為替市場(インターバンク市場)にて投資家は直接売買しているわけではありません。わかりやすくいうと、FX会社の窓口にて「米ドル/円を〇〇円で」とFX会社と取引しているイメージですね。FX会社は受けた注文を為替市場に流さずに自社内で一旦保留しておくのが一般的です。

そこで、もし顧客が損失を決済するなら、FX会社は顧客に返還する金額は少なくて済みますよね。この方法で国内のFX会社は利益を得ていますので、実は投資家が損するほどに儲かる仕組みになっているのです。
国内FXは基本的に自社内のみで取引を処理していますので、スプレッドや為替レートの設定も自社で自由に決めることができます。従って、固定で狭いスプレッドの提供も可能となるのです。

海外FX:NDD方式

一方、海外FXのNDD方式とは、No Dealing Desk(ノーディーリングデスク)を略したもので、STP取引、インター市場取引、電子取引所取引などと呼ばれている取引方式です。

NDD方式では、FX会社は顧客とインターバンク市場(為替市場)とを結ぶ中継地点になっているだけで、注文を受けているわけではありません。投資家が出した注文は、海外FX会社のサーバーからインタ-バンク市場の金融機関への直接流れる仕組みになっています。

海外FX口座を利用する投資家は、為替市場へ直接参加して取引しているイメージです。

海外FX会社は提携金融機関からのマージンやスプレッドに含まれている手数料から稼ぎを得ています。投資家が儲けて取引量を増やしてくるほど海外FX会社は利益が得られる仕組みになっています。
海外FXの場合は、FX会社が為替レートやスプレッドを操作することができません。市場の売買価格がそのまま反映されるので変動し広くなりがちなのです。さらに海外FX業者への手数料が一定の比率で上乗せされるために、余計に広くなってしまうのです。

スプレッドで選ぶなら海外FX?国内FX?

スプレッドで選ぶなら海外FX?国内FX?

スプレッドの狭さだけで見るならば、海外FXよりも国内FXの方が良いのでは?と疑問に思う投資家も多いと思います。

そこで、スプレッドの狭さだけでは測れない海外FXのメリット、そして海外FXのスプレッドへの対策を最後にご紹介しておきましょう。

海外FXのメリット

取引方式の透明性が高い!

確かに、海外FXのスプレッドは広めです。

しかしスプレッドが広くなるのは、インターバンク市場を反映していることと、手数料が上乗せされていることと理由が100%はっきりわかっています。

海外FXでは、FX会社が為替レートや注文を操作できないNDD方式が採用されています。海外FXではインター市場に直接参加して透明性が高いFX取引を行うことが可能です。

また、何によって海外FX業者が稼いでいるのかNDD方式では明確にできます。サービスの透明性や業者への信頼性を考慮するなら、スプレッドが広くなるとしても海外FXの方が安心だといえるのです。
国内FXでは、故意なストップ狩りやスリッページの疑いも!
DD方式の場合だと、投資家の利益とFX会社の利益は相反する関係にあります。真相は不明ですが、国内FXでは会社が儲けるために不利なレートでのロスカットや、スリッページを起こさせているとの噂もあります。
悪質な業者はないと思えるものの、互いの利益が相反する関係にある以上、果たしてどこまで国内FX会社が信頼できるのか若干の疑問が残ってしまうわけです。

約定力やレバレッジなどその他のメリットが大きい!

結局のところ、いくらスプレッドが狭い設定になっていても、約定力が伴わなければあまり意味がありません。国内FXはDD方式であるため自社に不利な約定は拒否されてしまい、大きなスリッページを起こすこともあります。
海外FXならNDD方式となるため、業者は取引や注文に介入することができません。直接インターバンク市場での取引となり高い約定力が期待できるのです。
他にも、500倍のハイレバレッジ、MT4が利用できたり、手厚いボーナスが利用できたりとその他のメリットが大きいことからスプレッドが気になりつつも海外FXを選ぶ投資家も多いのです。

ECN口座やVPSサーバーでスプレッドの広さはカバーできる!

スキャルピングなどで、どうしてもスプレッドにこだわりたい方は、手数料はかかりますがECN口座を利用するのがおすすめです。

ECN口座で最狭スプレッドを提供している海外FX会社の場合、サーバーや約定力に力を入れている業者も多いです。中には地理的レイテンシーを防ぐために東京にサーバーを完備している海外FX業者もあります。

手数料がかかったとしても、良質なECN口座なら国内FXよりも狭いスプレッドが実現できます。スプレッドコストを抑えて効率よく稼いでいけますし、手数料は経費にできますので結果的に経済的です。

東京にサーバーを利用していない海外FX業者でも、一定の取引量を条件に無料VPSサーバーを提供している業者もあります。VPSサーバーにて約定力を高め、狭いスプレッドでの取引を実現しやすくなります。

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ちなみに以下の記事では海外FXのメリットを完全網羅しています。ぜひ参考にして下さい。

まとめ

まとめ

今回は海外FXのスプレッドの特徴・種類、国内FXと比較しながら解説していきました。

海外FXのスプレッドの特徴

  1. 国内FXよりもスプレッドは広くなる
  2. 変動スプレッドが採用されている
  3. 手数料有料のECN口座はスプレッドが狭い

海外FXでスプレッド広くなる理由として、FXの取引方式が国内FXはDD方式、海外FXはNDD方式だからだということも合わせて解説していきました。

スプレッドを重視した場合は、国内FXの方が有利に思えてしまいますが、サービスの透明度の高さ、約定力やレバレッジなどその他のメリットも考慮してトータル的に判断していくのがよいでしょう。
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手数料が経費にできるECN口座を利用する投資家も結構多いようです。スプレッドにこだわりたい方は海外FXのECN口座をこの機会に検討してみてもいいですよね。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人投資家、ライター、アナリスト。海外メディアを駆使した市場リサーチが強み。副業トレーダーを経て、フリーランスとして独立。 株式投資、FX、金プラチナ、債券、外貨預金、ETF・投資信託、不動産などの分散投資を得意とする。