海外FXの収入に対してかかる税金の金額を見た時には、海外FXで勝つために頑張ったことが無駄に思えてしまうこともあります。できれば払いたくない税金。どんなに払いたくないと思っても日本に居住する以上、税金の義務から逃れることはできません。
しかし、確かに納税義務から逃れることは不可能ですが、節税していくことは可能です。節税は、少しでも安くしたいという気持ちさえあれば、努力次第で思った以上の金額が節約できます。そこで、具体的に海外FXの税金対策にはどのような方法があるのでしょうか。
海外FXは脱税できる?
国内FXで利益が出始めて税金を納めるようになった時に、おそらく誰もが一度ぐらいは「海外FXなら税金払わなくても、バレないのではないか・・・・」と希望を抱いた経験があるのではないでしょうか。
必死でチャート分析を行い、寝る間も惜しんで経済記事を追いかけながら一生懸命稼いだFXの利益。いざ確定申告で計算した税金の額にがっかりしてしまう方は多いでしょう。そこで、海外FXなら!と思いがちなのですが、残念ながら海外FXで利益が出た場合も税金を払わなければなりません。
申告漏れはペナルティが!
申告漏れがわかった時には過去にさかのぼって税金とペナルティが課されてしまいます。税金を払うのを惜しんだばかりに、のちのちは余計に支払う羽目になってしまうのです。
税金のペナルティ
税金のペナルティには以下のようなものがあります。
過少申告加算税
申告額が本来支払う額よりも少なかった時に課税されます。(税額の10%)
無申告加算税
申告すべきだったのに申告しなかった場合に課税されます。(税額の15~20%)
重加算税
意図的でかつ悪質な無申告・過少申告と見なされた場合に課税されます。(税額の35~40%)
延滞税
納税期間を過ぎた場合に課税されます。(税額の7.3~14.6%)
利子税
納税期間を過ぎた場合に課税されます。(課税所得額の1.8%)
海外FXの税金
一定額以上の利益がある場合、海外FXの税金を確定申告をして納める必要があります。そこで、節税することは違法ではありませんので、上手にやりくりすれば支払う税金の額を抑えていくことは可能です。
まずは、海外FXの税金の仕組みをしっかり理解しておくことが節税への第一歩です。
海外FXで確定申告が必要となるのは
- 給与所得者 → 20万円以上
- 給与所得者以外 → 48万円以上
上記の金額を上回る利益が出た場合が対象となります。
海外FXの所得区分
海外FXの税金の所得区分は雑所得になります。
国内FXの税金
国内FXの税金は先物取引にかかる雑所得に区分され、申告分離課税となり個別で20.315%の税率にて計算します。
海外FXの税金
海外FXの税金は総合課税の雑所得に区分され、給与所得・事業所得などその他の所得とのトータルで税率が決まります。
海外FXの税率
海外FXの税金においては、総所得額に応じて5%~最大45%の税率が適用されます。
所得額が大きくなるほど、税率が高くなっていく仕組みになっています。
税金の計算方法
海外FXの税金の計算方法は、まず海外FXの所得がいくらなのかを計上します。
海外FXの利益から必要経費を差し引いた金額が税金の対象となる所得です。
給与所得、事業所得、その他の所得などと合算した金額から控除額を引いて課税所得額を計算します。
課税所得額に応じた税率にて所得税を計算して、所得税の控除額や源泉徴収税額を差し引いた金額が最終的に支払う海外FXの税金です。
復興特別所得税
所得税 × 2.1%
住民税
(課税所得額 × 10%)+ 均等割り - 2,500円(調整控除)
海外FXの節税方法
海外FXの税金は利益が大きくなるほど税率が高くなるのがデメリットです。せっかく一生懸命稼いでも、稼げば稼ぐほど大半を税金でとられてしまいます。
国内FXなら一律で20.315%の税率です。利益が大きい方は国内FXの方が税金は抑えていけるものの、やはりハイレバレッジで取引できる海外FXは多くの投資家にとって魅力的です。海外FXのハイレバレッジで効率よく稼いでいくためには、少しでも税金が抑えていけるように税金対策、節税に取り組むことが欠かせません。
1.必要経費を徹底して計上する!
まず、誰にでも取り組める節税方法として必要経費を徹底してすべて計上していく方法があります。海外FXにかかる支出の中には、必要経費にできるのか判断な微妙なものもあります。本来は経費となるものでも、プライベートでも使うからと見過ごしてしまう支出も結構あるのです。
海外FXで経費に計上できそうなもの 一覧
- FXに関する書籍、DVD、ソフトの購入費用
- FX情報取得のための、メルマガ、サイトの利用料
- FX情報取得のための新聞、月刊誌、サイトの購読料
- FXセミナーの参加費、交通費、宿泊費、食事代
- FX懇談会や勉強会の参加費、交通費、宿泊費、食事代
- FXトレードの取引手数料
- MT4の有料インジケーター
- MT4の有料EA
- 通信費、プロバイダー料金、WiFi・ルーター費用
- PC、スマホ、タブレッド等の端末代
- VPSサーバー使用料
- 口座開設にかかった諸費用(コピー代、写真代など)
- FX会社に問い合わせの通話料金
- FXの勉強・トレードレポート用の筆記用具
- PC周辺機器(プリンター、ケーブル、コンセントなど)
- FXトレード用の机、イス、テーブル、照明
- FXトレード用のオフィス、レンタルスペース、
- 家賃・光熱費の一部
- 海外FX情報取得のための英会話教室
- 海外FX会社の取材のための旅行費全般
- 海外送金の送金手数料
- クレジットカード(デビットカード)の年会費
など、思った以上に必要経費にできる支出は多いのです。ただ、手当たり次第どれでも経費計上してよいというわけではありません。
経費にするための重要なポイントと注意点
経費にするためのポイントや注意点を解説していきます。
レシートや領収書がある
経費にできる支出の最低条件はレシートや領収書などで支払ったことが証明できることです。ネットバンキングやクレジットカードの支出は取引明細をダウンロード・キャプチャーにて保存することができます。レシートや領収書は確定申告で添付する必要はありませんが、万が一、調査を受けた時のために最低5年間の保存が義務づけられています。
経費として微妙な支出のみ、詳細を補足するためにレシートや領収書と内訳などを添付することが可能です。
FXに関係する経費であること
経費にできるかどうかの判断は、そのサービスや物をFXに利用したかどうか、あくまでも事実に基づいていることがポイントです。バケーションで行ったオーストラリア旅行の費用は経費にできませんが、海外FXブログの取材でニュージーランドにある海外FX会社を訪問したとすればこの旅行費用は経費となります。
プライベートで使うスマホは経費になりませんが、FXトレード用に2台目のスマホを購入したとすれば、スマホの購入代は経費にできます。
FXに必要なことが説明できる
経費にする際には、その支出がFXに必要だと説明できることが重要なポイントになります。友人や先輩と普通に食事に行った際の食事代は経費にできませんが、FXの勉強会という名目があれば経費になります。その勉強会が定期的に行われているものであって、FX取引の向上を目的とした会合であること。会合名やサークル名など証明できるものがあれば尚よいといえます。
1つ1つの必要経費の明細を記入する必要はありませんが、疑問に思われる可能性がある経費に関しては詳細を添付しておく方法があります。
プライベートとの併用は一部を経費に
プライベートでも使うけれど、FXでも必要、といった通信費などの支出は一部を経費とすることができます。家賃や光熱費も同様にFXトレードにかかわる支出で経費にできます。スペースや電力、通信回線などがなければFX取引はできないからです。
しかし、プライベートでも必要な支出です。それぞれのトレードにかける時間比率にて何%ぐらいを経費にするか判断するとよいでしょう。要は自宅を副業のオフィスとして併用しているといったイメージです。
2.家賃や住宅購入費の一部を経費にする
家賃や住宅購入費の一部は経費として計上することが可能です。
そもそも家賃や住宅購入費をFXの必要経費をして計上しても良いのでしょうか。経費計上するとすれば、どれくらいの比率で計上すればよいのかなど疑問に思う方もいるでしょう。家賃や住宅購入費の一部を経費にする方法を詳しく解説しておきましょう。
- 賃貸物件の家賃
- 住宅購入費用の減価償却費
上記2つの費用の一部は、税法上では「家事按分」といって事業の必要経費として認められています。もともと、家事按分には細かい規定はないため、それぞれの事業比率(FXにかける時間やスペース)によって判断は異なります。
FX取引にかける時間や占有面積から判断
1日のFX業務の時間から割合を算出する
1日平均して4時間はFXに時間を使っているとします。
- 4時間 ÷ 24時間(1日)= 約16%
家賃、減価償却費の16%を経費計上することができます。
例えば専業FXの方で、1日平均して8時間はFXに時間を使っているとすれば約44%が経費になります。
FX取引スペースの占有面積から算出する
自宅の総面積50㎡のうち5㎡がFXに使う面積だとします。
- 5㎡ ÷ 50㎡ = 10%
家賃、減価償却費の10%を経費計上することができます。
例えばFX取引専用に10㎡(一部屋)確保しているとすれば20%が経費にできます。
3.ECN口座を利用する
次に、海外FX特有の節税方法にECN口座を利用する方法があります。スプレッドは手数料として計上することができませんが、取引手数料は経費計上できます。
海外FXのECN口座とはスプレッドがかなり狭い設定になっている口座のことで、一般的に取引手数料がかかります。利用するECN口座によって手数料の設定は異なり、「片道〇ドル/1Lot」というようにあらかじめ取引手数料が表示されています。
つまり、通常のSTP口座では経費にできないスプレッドが、ECN口座に切り替えることで経費計上できるようになるのです。通常の口座でスプレッドで手数料を払っていると思えば結局は経費にできるECN口座の方が経済的だともいえるのです。
STP口座とECN口座の比較
例えば、XMの場合STP口座のスプレッドは広めで、平均スプレッドは米ドル/円の場合で1.6pipsです。トレードコストは「取引通貨数 × 1.6pips」かかっていることになります。1lotでこのコストは経費にできません。
そこでXMのECN口座を利用した場合、1lotで片道5ドルです。スプレッドによるコストは0.1pips程度に低減できます。取引手数料5ドルは経費計上で相殺できるため、ECN口座の方がトレードコストを抑えたうえで節税につながるわけです。
4.家族にトレードを代行してもらう
配偶者や社会人の子供、あるいは両親などに海外FX口座開設、トレードを代行してもらう節税方法があります。海外FX口座や利益を受け取る銀行口座が家族の名義であることがポイントです。
本来、夫の分の海外FX所得が100万円だったとします。こちらを配偶者と子供に分けて1人33万円程度の所得に計上することが可能です。とくに、社会人で扶養家族を離れている家族がいると助かります。
海外FXの税金は総所得を合算した金額で税率が決まりますので、トータルの利益を家族で配分することによって1人分の所得の税率を抑えることが可能です。
5.中古不動産への投資
税金対策として中古不動産への投資を始める方法もあります。
海外FX所得は総合課税の雑所得で、その他の総合課税の所得と損益通算することができます。海外FXと合算できる所得は、「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「譲渡所得」などがあります。
不動産の購入費用は減価償却にて毎年一定額を経費として計上することができます。そこで中古不動産を購入して、減価償却費で赤字額を計上すれば節税が実現できます。
とくに木造の中古不動産の場合は、耐用年数が短くなり中には耐用年数をオーバーしている物件も少なくありません。
耐用年数を過ぎた物件の減価償却
耐用年数を過ぎた物件の減価償却年数は、法定耐用年数の20%に相当する年数が適用されます。耐用年数が22年の物件であれば減価償却年数はわずか4年間です。つまり1年間の減価償却費が、通常の場合よりも一気に大きくなるのです。
仮に、家賃収入が200万円、減価償却費が400万円だとすれば年間の赤字額は200万円です。
6.法人化して税制の優遇を受ける
海外FXで毎年まとまった利益が出るようになったら、どこかのタイミングで検討したいのが法人化です。法人化にすると税制面で様々な優遇が受けられます。給与所得がない個人投資家やフリーランスの方におすすめの節税方法です。
法人になると、個人の所得税ではなく「法人税」が課税され税金の仕組みが異なります。法人化のメリットは、控除や経費の項目が増えて所得額を最小限に抑えていける点にあります。
法人化のメリット
- 本人の所得を役員報酬にして給与所得控除が可能になる
- 奥さんや家族を役員にして報酬を支払うことで経費計上できる
- 経費にできる項目が増え所得額を抑えることができる
- 損失が9年間繰越しできる
- 事業所得とその他の所得を損益通算できる
- 小規模企業共済など税制優遇が受けれる
- 社会保険に加入できる
7.海外に移住する
究極の節税方法は海外に移住することです。
国の税金はあくまでも日本国内の居住者が対象になっています。日本国籍を持っていても日本に居住しない限り税金を払う必要はないのです。具体的には183日以上、日本に居住していない場合は非居住者と見なされます。
この方法は会社勤務の方や家族がいる方には容易ではありませんが、国内外を問わず海外移住にて税金を逃れる資産家・投資家は意外と多いようです。身軽な独身の個人投資家、ネットビジネスをしているフリーランスなど、税金対策を兼ねて海外移住を決意する人も増えていると聞きます。
海外に移住すれば、海外FXで得た利益は非課税でまるまる手元に残ります。しかし、海外で部屋を借りたり、不動産を購入したりとそれなりに多大な手間も費用もかかります。この方法は多くの人にとって非現実的な節税方法だといえますが、もし興味がある方は本格的に情報を調べて計画を立てていくとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は海外FXの税金対策、節税方法について解説していきました。税金は非常にややこしく複雑な仕組みになっていて、知らないまま必要以上に払っているケースも少なくないのです。本来ちょっとした計算方法や区分の違いや税制の活用などで、税金は可能な限り安くしていけるのです。
難解な税制の迷宮をくぐりぬけて節税を実現していくために大切なのは、「税金をできるだけ払いたくない、少しでも安くしたい」という熱意です。節税したいという熱意が弱ければ、国税庁の訳のわからない文面を見ただけで拒否反応を起こしあきらめてしまいます。適当なところで大まかに計算して余計な税金まで払ってしまうのです。
それぞれに努力して頑張って稼いだお金です。確かに税金は私達の義務ですが、あまりにも税金が大きくなりすぎると夢も希望も無くなってしまいます。