海外FXで税金が発生するのは、それぞれの状況によって異なります。様々なケースがあるのですが、大きく2つのタイプに分けることができます。まず、給与所得があるかないかによって税金の対象となる金額が変わってきます。
他にも、海外FX以外の所得があるかどうかなどによって、課税対象となる基準が若干異なってきます。
海外FXの税金はいくらから?
海外FXの税金はいくらから発生するのかは、まず給与所得があるかないかによって大きく分けることができます。
- 給与所得がある → 海外FX所得が20万円以上
- 給与所得がない → 海外FXを含めた総所得が48万円以上
必要経費を差し引いた海外FX所得が20万円以上、または48万円以上で税金が発生するということです。
給与所得がある人
正社員や派遣社員などのサラリーマン。アルバイトやパート、フリーターなども毎月給与をもらっている場合はこれに該当します。
学生や主婦でも扶養控除から外れて、まとまった給与をもらっている人は給与所得者です。
給与所得がない人
個人事業主やフリーランス、自営業など事業所得で確定申告を行う人は、給与所得者には該当しません。株式やFXトレードで生計を立てている人や、投資を事業としている個人投資家も給与所得者以外です。
学生や主婦で扶養家族に入っている人や、無職の人もこれに該当します。
海外FXの税金の仕組み・計算方法
海外FXの税金は、「総合課税の雑所得」です。
※国内FXの税金は「申告分離課税の雑所得」となり、計算方法や税率が全く異なるため注意して下さい。
総合課税の仕組み・計算方法
総合課税方式では、トータールの所得額に応じて税率が変わる累進税率が適用されます。海外FX、給与や副業などの所得と合算して計算します。
トータルの所得額が大きくなるにつれて、5%~45%まで税率が高くなる仕組みになっています。
海外FX税金の計算方法
給与所得や事業所得、海外FX所得の合計金額に該当する税率をかけて計算します。
給与所得者の場合は、すでに源泉徴収にて給与分の税金は払っていますので、支払い済の税金や控除額を差し引きます。事業所得者の場合は、事業所得も確定申告が必要ですので、控除額を差し引いて税金の計算をします。
住民税と復興特別所得税
所得税以外でも、住民税と復興特別所得税が別で課税されます。
- 住民税 → 課税所得額 × 10%(地域による)
- 復興特別所得税 → 所得税 × 2.1%
総合課税の所得
合算できる総合課税の所得は、
- 事業所得(株式の譲渡益を除く)
- 利子所得(源泉分離課税の利子所得を除く)
- 配当所得(源泉分離課税の配当を除く)
- 不動産所得(土地、建物の譲渡益を除く)
- 給与所得
- 一時所得
- 雑所得(申告分離課税、源泉分離課税を除く)
があり、これらはすべて合算して税金の計算が行えます。
雑所得の種類
雑所得とは、以下の9種類の所得に該当しない所得のことをいいます。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
雑所得の例
雑所得に分類されるものは、
などがあります。
給与所得者のタイプ別 海外FXの税金はいくらから?
サラリーマン、派遣社員、アルバイト、フリーターなど給与をもらっている人は、海外FX所得が20万円以上となった場合に発生します。
雑所得が20万円以下は課税対象外
厳密にいうと海外FX所得が20万円以上というよりは、
という言い方が正しいのです。海外FX所得が20万円以下であっても状況によっては、確定申告が必要です。
すべての雑所得の合計が20万円以上かどうかが判断基準となります。
他にも、
- 雑所得が複数ある場合
- 給与所得が2つ以上ある場合
そこで、ありがちな給与所得者の疑問をタイプ別にいくつかご紹介しておきましょう。
雑所得が他にもある場合
海外FX以外にも雑所得がある場合は、
例えば、給与所得以外に、アフィリエイト、ネット通販などの稼ぎがあるとします。
アフィリエイト10万円 + ネット通販10万円 + 海外FX10万円 = 雑所得30万円
で、税金の対象となります。
2か所で給料をもらっている場合
年末調整は原則として1か所の勤務先で行います。どちらで年末調整を行うかは、給料が多い方です。
もう1方の給与は、副業の給与所得として確定申告を行います。海外FXに税金がかかるのは、雑所得が20万円以上です。
従って、
給料をもらっているけど年末調整はしていない
給料をもらっていても、稀に年末調整をしていないケースもあります。
この場合は、給与所得と一緒に海外FXの税金も申告します。
雑所得を損益通算したら20万円以下
給与所得以外で、複数の雑所得がある場合に、いずれかの雑所得にて損失が出ているとします。雑所得の損失は損益通算が可能ですので、損失分を雑所得のトータルから差し引くことができます。
海外FXで損失が出ている場合も、同様に損益通算できます。
個人事業主タイプ別 海外FXの税金はいくらから?
実に様々なケースがあり疑問に思うことも多いのが、個人事業主やフリーランスの海外FXの税金です。
まず、個人事業主・フリーランスの場合は3つのタイプに分けることができます。
飲食店・ネット通販などの自営業
飲食店、美容室、雑貨屋、食料品、衣類、実店舗にネット通販など多彩な種類の個人事業の種類があります。
メイン事業は事業所得、海外FXは雑所得となります。個人事業主の雑所得の基準はとくに設けてありません。雑所得がいくらであっても、総所得額で課税対象かどうかが決まります。
事業所得が48万円以下となるケースは少ないでしょうから、大抵の場合、海外FX所得がある時には税金がかかることになります。総所得額が48万円以下であれば、海外FXで20万円を超えたとしても課税対象外です。
複数の事業を運営している
飲食店に、ネット通販にアフィリエイト、海外FXと多方面から収入を得ている場合でも、総所得額によって課税対象かどうかが決まります。
専業トレーダー・個人投資家
海外FXの収入で生計を立てている方、株式や国内FXで生計を立てている方、投資事業をメイン事業としている方も最近では増えてきています。
株式、国内FX、海外FX、仮想通貨など、投資で得た収入はすべて事業所得となります。それ以外の、ネット通販やアフィリエイトなどは雑所得となります。
事業所得が48万円以下の時は申告の必要はありません。
学生・主婦タイプ別 海外FXの税金はいくらから?
少しややこしいのが学生や主婦の税金です。
学生や主婦は、両親や配偶者の扶養内にあるケースも多いですよね。従って、海外FXで収入を得る場合は、扶養家族控除・配偶者控除を考慮する必要があるのです。
いくつか代表的なタイプを見ておきましょう。
扶養外にある学生・主婦
給与所得が一定以上あり、扶養から外れている学生や主婦は給与所得者と同じ課税条件となります。
給与収入がある学生・主婦
扶養内にあって、給与収入がある学生・主婦は
勤労学生は、「給与所得控除55万円」「27万円の勤労学生控除」「48万円の基礎控除」が受けれます。トータルの所得控除が「130万円」となり130万円まではアルバイトで収入を得ることが可能です。
アルバイト収入が130万円ぎりぎりだった場合、海外FXの収入があると扶養家族の対象外となってしまいます。
また、海外FX(雑所得)に適用できる控除は「基礎控除の48万円のみ」です。海外FXの所得が48万円を超えた場合も扶養家族の対象外となるので注意しましょう。
給与収入がない学生・主婦
給与が収入がなく、単発でたまに収入を得ている方、無職の方は、
海外FX以外の雑所得がある方は、すべての雑所得が48万円を超えると課税対象となります。
扶養内にある学生・主婦は、48万円を超えると課税対象となるだけでなく扶養控除の対象外ともなりますので注意が必要です。
海外FXの確定申告
海外FXで課税対象となった場合、指定の期日までに確定申告をする必要があります。
確定申告とは
これまで給与所得のみだった会社員などは、会社で年末調整をして社員の税金を納めているため、確定申告には無縁だった方も多い思います。そもそも確定申告って何の税金なのか疑問に思う方もいるでしょう。
確定申告とは
確定申告の期限
確定申告を行う時期は、2月中旬から3月中旬あたりの約1か月となり、細かい日程は毎年国税庁によって決められています。確定申告の期日が確定すると、国税庁や自治体などでポスターや広告にて公開されています。
令和3年度分の確定申告
年が明けて1月末~2月あたりから、前年度の確定申告を準備し始める人が多いようです。
確定申告の情報サイト
確定申告に関する詳しい情報は、
などを参考にしてみて下さい。
確定申告ソフトも使える
自動で仕訳や計算をしてくれる確定申告ソフトを利用する方法もあります。
などがあります。
まとめ
海外FXの税金はいくらから発生するのかは、それぞれの状況によって異なります。
まず大まかに給与所得があるかないかで2つに分けることができます。
- 給与所得がある → 海外FX所得20万円以上(雑所得20万円以上)
- 給与所得がない → 海外FX所得48万円以上(総所得48万円以上)
この2つを覚えておけば、簡単に自分が課税対象なのかどうかが確認できます。
ぜひ、今回の記事を参考に、それぞれの状況に合わせて課税対象なのかどうかを確認してみて下さい。
今回は、海外FXの税金はいくらから発生するのか、様々なケースをご紹介していきます。