海外FXの税金はいくら? 国内FXの税金と比較して解説

海外FXで利益が出た時に気になるのが税金です。海外FXの税金はいくらから払うのでしょうか。税金の所得区分は?税率はどうなる?などとわからないことも多いですよね。そもそも、海外のFX会社なら税金は払わなくてもいいのではないかと思う方もいるのではないでしょうか。

海外FXで利益を得た時は、国内FXの場合と同様に課税義務が生じます。確定申告しなくてもバレないと思われがちですが、海外FXで得た利益は税務署が調べればすぐにバレてしまうので、税金はきちんと払わなければなりません。

海外FXと国内FXでは課税対象となる基準や税金の区分、計算方法が異なってきますので、双方の違いをしっかりと抑えておきましょう。

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今回は、国内FXの税金と比較しながら、海外FXの税金の仕組みや特徴をわかりやすく解説していきます。ぜひ、参考にして下さい。

海外FXも税金は必要?

海外FXも税金は必要?

海外FXは海外の業者を利用しますので、海外FXで利益を得たとしても税金はかからないのではないかと思う方も多いようです。仮に、税金を払う必要があったとしても、払わなくてもバレないのではないかと思ってしまいがちです。

おそらく海外FXの投資家は一度ぐらいは、海外FXの脱税がバレない方法などを調べた経験があるのではないでしょうか。

税金はできれば払わずに済ませたいものですが、海外FXの利益にも税金はかかります。一定以上の利益が出たら確定申告をして税金を納めなければなりません。

納税義務が生じる条件

この機会に、納税義務が生じる条件とはどのようなケースなのか確認しておきましょう。

国内で納税義務が生じるのは

日本に居住している個人や法人です。日本国籍を持たない個人や法人でも、日本に居住する限りは所得税を支払う義務があります。居住の定義は、1年以上継続して日本に住所を持っている場合をいいます。

日本に居住している状態で得た収入・利益は国内からであろうと海外からであろうと税金がかかります。海外FXも日本で利益を得ている以上は税金を支払わなければなりません。

海外FXで得た収入はバレるのか

海外FXで得た収入は、申告しなければわからないように思えますよね。しかし、税務署は海外FXから日本の金融機関へ入金があったことを把握できる状況にあり、調べればすぐにわかってしまいます。万が一申告漏れがバレてしまった時にはペナルティで罰金が課されるため、余計に支払わなければなりません。

例えば、たまたま1年、2年はばれなかったとしても、何かのきっかけで税務署から疑惑を持たれてしまったら、過去にさかのぼって調べられることになり、数年分の税金とペナルティが課される仕組みになっています。

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いずれバレてしまって余計に税金を払わされるくらいなら、真面目にきちんと税金を申告しておいた方が無難です。課税を逃れることよりも、合法的にいかに節税していくかを考えた方が良いといえます。

海外FXと国内FXの税金

海外FXの税金は、国内FXの税金とは区分や税率などが変わってきます。まずは、海外FXと国内FXの税金の違いを簡単に確認しておきましょう。

国内FXの税金 海外FXの税金
課税対象 給与所得者は利益が20万円以上 給与所得者は利益が20万円以上
所得区分 雑所得 先物取引にかかる雑所得
課税方式 累進課税 分離課税
税率 総所得によって税率が5~45% 一律で20.315%
住民税 所得額の10% 所得額の5%(20.315%に込み)
損失の繰り越し できない できる
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以上のように、海外FXと国内FXでは税の仕組みが異なるため、最初の確定申告は何かと戸惑うことも多いですよね。そこで、海外FXの税金について、国内FXと比較しながら詳しく解説していきたいと思います。

海外FXは税金はいくらから?

海外FXは税金はいくらから?

では、最初に海外FXでいくらの利益を得たら税金の対象となるのかを解説していきます。

まず、税金の対象となる海外FXの利益は、必要経費を引いた金額です。(国内FXの場合も同じです)

海外FXの課税額 = 海外FXの利益 - 海外FXの必要経費
必要経費にできるもの

FXの必要経費にできるものは

  • 通信費やプロバイダー料金(一部)
  • 口座開設にかかった費用、コピー、郵送代など
  • FX会社へ問い合わせた電話代
  • FX関連の本
  • FXセミナー

など・・・必要経費を使った節税対策はまた最後に詳しく解説しています。

海外FXで税金の対象となるケース

海外FXで税金の対象となるのは必要経費を引いた収入が、給与所得がある会社員で20万円以上、専業FXの場合は38万円以上、フリーランスや個人事業主の場合は38万円以上からです。

  • 給与所得がある → FXの利益が20万円以上
  • 専業FX → FXの利益が48万円以上
  • 個人事業主 → 総所得が48万円以上
  • 学生・主婦 → 総所得が48万円以上
給与所得がある人の注意点

給与所得がある方は、給与所得以外の収入が20万円以上から申告が必要です。不動産収入、投資、ネットオークションなどの副業から得る雑所得が20万円となる場合、FXの収入が20万円以下でも税金がかかります。

専業FXの場合

専業FXの方は、FXの収入は事業所得となりますので、国内、海外と合わせたFXの所得が48万円以上から税金の対象となります。

個人事業主

個人事業主の場合は、海外FXの収入を合わせた事業所得が48万円以上から税金がかかります。

学生・主婦

学生や主婦の方は、アルバイトやパートなどの収入と合わせて海外FXの収入が48万円を超えると税金が生じます。

国内FXで税金の対象となるケース

FXの収入に税金がかかるケースは、海外FXも国内FXも同じ条件となります。

国内、海外を問わずFXで得た収入が給与所得者で20万円以上、個人事業主、学生、主婦の場合で48万円を超えると税金の対象です。

海外FXの所得区分は?

海外FXの所得区分は?

確定申告で税金を納めるのは、おもに所得税と住民税です。所得税の金額によって住民税が決まりますので、まずは課税対象となる所得額を計算しなければなりません。ひとことで所得といっても、給与は給与所得、副業で得た所得は雑所得など所得区分が異なります。FXで得た所得は国内外を問わず原則として雑所得に区分されます。

これまで給与所得がメインだった会社員の方や、今までは自分で確定申告をする必要がなかった学生や主婦の方など、給与所得や雑所得と聞いてもよくわからないという方もいるでしょう。海外FXの所得区分について解説する前に、まずは所得税の種類にどのようなものがあるのかを見ておきましょう。

10種類の所得区分
所得区分 所得の詳細
利子所得 公社債や預貯金の利子、貸付信託の分配金など
配当所得 株式の配当、投資信託の分配金など
不動産所得 不動産、土地などの貸付けから生じる所得
事業所得 商業・工業・農業・自由業など事業から生じる所得
給与所得 給料・賞与などの所得
退職所得 退職で受ける所得
山林所得 5年以上所得した山林を伐採・売却して得た所得
一時所得 クイズの賞金や保険金などから得る所得
雑所得 公的年金、原稿料、印税、上記9種類に該当しない所得

上記のように所得には10種類あって、それぞれ所得区分ごとに税率や計算方法、その他の優遇措置などが変わってきます。最も一般的な所得が会社員やアルバイト・フリーターなどの給与所得です。

給与所得は、通常は年末調整によって税金が会社から引かれていますので、本人は確定申告する必要はありません。あと、配当所得や利子所得も金融機関から直接差し引かれているので申告は必要ありません。

副業をしていたり、不動産の賃貸料などで収入がある方は本人が所得を確定申告しなければなりません。副業やFXの所得は国内も海外も、専業FX以外では「雑所得」に区分されます。雑所得にも種類があって国内と海外では雑所得の種類が変わってくるのです。

海外FXの所得区分は「雑所得」

雑所得は、大きく「公的年金等の雑所得」と「公的年金等以外の雑所得」の2つに分けられています。

海外FXの所得区分は給与所得や事業所得以外で得る副業収入となり、「公的年金以外の雑所得」に区分されます。雑所得に該当する副業には、FX以外でもアフィリエイト広告、ネットオークション、原稿料や印税などがあります。その他の副業の収入と合わせて雑所得の合計金額を計算していきます。

専業FXの方は、FXの収入が事業所得となるので国内、海外のFXの収益をすべて「事業所得」で計上していきます。

国内FXの所得区分は「先物取引にかかる雑所得」

国内FXの所得区分も「公的年金以外の雑所得」に区分されますが、雑所得の中でも「先物取引にかかる雑所得」に分類されます。先物取引にかかる雑所得は基本的にその他の副業の収入と合算することができません。

国内FXの課税所得は国内FXのみで個別に計算していく必要があります。

国内FX以外に、CFDなどの先物取引があれば国内FXと合わせて「先物取引にかかる雑所得」として計上できます。

先物取引商品の例

先物取引には

  • 日経225、日経225ミ二
  • 株価指数先物取引、日経平均先物
  • 商品先物取引(金、プラチナ、原油、大豆など)
  • ストックオプション、バイナリーオプション

以上のような商品があります。国内FXの税金はこれらをまとめて「先物取引にかかる雑所得」とします。

海外FXの税率は?

海外FXの税率は?

海外FXは「総合課税方式」の税率が適用される雑所得です。総合課税方式では累進税率となるので、FX所得を含めた総所得額がいくらなのかによって税率が異なります。国内FXの場合は、分離課税方式が適用されFXのみの所得に対して一律で20.315%の税率で課税されます。

総合課税と分離課税

所得税を計算する際の課税方式には

  • 総合課税方式 (海外FX)
  • 分離課税方式 (国内FX)

の2種類があります。ここで2つの課税方式について解説しておきましょう。

総合課税方式

総合課税方式とは

給与所得や事業所得、雑所得などの所得を合計して税金を計算する方式のことです。

総合課税方式では、トータールの所得額に応じて税率が変わる累進税率が適用されます。トータルの所得額が大きくなるにつれて、5%~45%まで税率が高くなっていきます。海外FXは総合課税の雑所得なので給与や副業などの所得と合算してい計算します。

総合課税の所得
  • 事業所得(株式の譲渡益を除く)
  • 利子所得(源泉分離課税の利子所得を除く)
  • 配当所得(源泉分離課税の配当を除く)
  • 不動産所得(土地、建物の譲渡益を除く)
  • 給与所得
  • 一時所得
  • 雑所得(申告分離課税、源泉分離課税を除く)

などの所得は合算して税金の計算が行えます。

分離課税方式

分離課税方式とは

その他の所得と分けて個別で税金を計算する方式のことです。
分離課税の税率は15.315%、20.315%などと所得の種類によって一律で決められています。分離課税には、預金の利息のようにあらかじめ税金が徴収される源泉分離課税と、国内FXのように申告が必要な申告分離課税とあります。
源泉分離課税の所得
  • 預貯金の利子所得
  • 公社債、投資信託等の配当所得
  • 金融類似商品の補てん金

などの所得はあらかじめ受け取る時に税金が差し引かれています。

申告分離課税の所得
  • 山林所得
  • 土地建物の譲渡所得
  • 株式等の譲渡所得
  • 先物取引にかかる雑所得
などは、その他の所得とは分けて税金を計算します。

海外FXの税率

海外FXの税金は総合課税方式の雑所得です。従って、給与所得やその他の所得とFX所得の合計がいくらなのかによって税率が異なります。

年間の所得の合計が195万以下の場合は税率5%。所得が増えるごとに最大で45%まで税率が高くなります。所得額に応じて、該当する税率にて課税額を計算し、控除額を差し引いた金額が実際に支払う税金です。

復興特別所得税

所得税に加えて被災地支援にともなう復興特別所得税が課税されます。

所得税額 × 2.1%

住民税

さらに住民税が約10%の税率にて課税されます。

  • 市町村民税 → 所得金額 × 6%
  • 市県民税 → 所得金額 × 4%
海外FXの場合、少額所得者は税金を抑えられますが、利益が大きくなるほど税金がどんどん高くなっていくのがデメリットです。

国内FXの税率

国内FXの税率は分離課税方式となり、所得額にかかわらず一律で20.315%です。

  • 所得税 15%
  • 住民税 5%
  • 復興特別所得税 0.315%

住民税、復興特別所得税込みの税率となっています。

国内FXの場合、どれだけ稼いでも税率が変わらない点がメリットですが、利益が少額の場合は税負担が大きくなりがちです。

海外FXの税金の計算方法は?

海外FXの税金の計算方法は?

それでは実際に海外FXの税金を計算する方法を解説いたします。

海外FXの税金を計算する手順と計算例

海外FXの税金を計算する流れは以下のようになります。

  1. 海外FXの所得額、その他雑所得を計算する
  2. 総合課税に該当する給与などの所得額を計算する
  3. 所得控除額を計算する
  4. 所得額に応じて累進税率で所得税を計算する
  5. 復興特別所得税と住民税を計算する

では、税金を計算する手順や計算例を詳しく見ていきましょう。

1.FXの所得額、その他雑所得を計算する

海外FXの利益がすべて課税対象となるわけではありません。まずは、年間の海外FXの利益がいくらなのかを確認して、必要経費を差し引いた金額が課税所得額です。

課税対象となる海外FXの利益は

  • 決済したポジションの為替差益
  • 受け取り済みのスワップポイント

上記2つの年間の利益を確認します。

海外FX業者によっては、年間取引報告書を発行してくれる業者もあります。MT4などの取引履歴から期間を「1年」で選択すると、年間の取引履歴が確認できます。

海外FXの年間の利益 - 必要経費 = FXの課税所得額

2.総合課税に該当する所得額を計算する

FXの課税所得額が算出できたら、次に、給与所得や事業所得など総合課税に該当する所得額を全部確認しておきます。給与所得がある方は源泉徴収票、事業所得の方は支払いの領収書や請求書など、所得や経費の証明となる書類をまとめておきましょう。

総合課税の所得額がすべて確認できたら、海外FXの所得とその他の所得の合計金額を計算します。

給与所得 + 雑所得(海外FX)+ 不動産所得 = 所得額

3.所得控除額を計算する

所得税や住民税には以下のような控除が適用できるので、書類や額面を準備しておきます。

  • 給与所得控除
  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 医療控除
  • 住宅ローン控除

など、控除できるものが多いとそれだけ税金も安くできます。

給与所得の控除額
給与収入(源泉徴収票の支払い金額) 給与所得控除
1,800,000円以下 収入金額×40% 550,000円以下は550,000円
1,800,000円超~3,600,000円以下 収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超~6,600,000円以下 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超~8,500,000円以下 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超 1,950,000円(上限)
調整控除を覚えておこう

調整控除とは、所得税と住民税では人的控除に差が出てしまうため、払い過ぎを回避するために利用できる制度です。

人的控除とは、配偶者控除や扶養控除なと人にかかる控除のことをいいます。
  • 課税される所得額が200万円以下の場合

「人的控除額の差の合計額、または課税所得金額のいずれか小さいほう」× 5% で調整控除額を計算します。

  • 課税される金額が200万円を超える場合

「人的控除額の差の合計額 - 課税所得金額から200万円を引いた金額」× 5% で調整控除額を計算します。2500円以下になる場合は2500円が控除額です。

4.所得額に応じて累進税率で所得税を計算する

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

次に、課税所得額に応じて累進税率の税率をもとに所得税を計算していきます。

(所得額 - 控除額)× 累進課税率 = 課税所得税

参考となる計算例を挙げていきます。

会社員の場合の計算例
  • 年間の給与収入が500万円
  • 海外FXの利益が120万円
  • 必要経費が20万円
所得額を計算

給与収入が500万円の場合、給与所得控除額が158万円となり給与所得額は362万円です。海外FXの利益120万円から必要経費を差し引くと100万円。

給与所得362万円 + 海外FX所得100万円 = 所得額462万円

控除額を計算

次に控除額を計算します。

社会保険料が28万円、生命保険料控除が4万円、扶養控除が1人で38万円、基礎控除が38万円です。

28万円 + 4万円 + 38万円 + 38万円 = 控除額108万円

課税所得額を計算

所得額が控除額を引いて、実際の課税所得額を計算します。

所得額462万円 - 控除額108万円 = 課税所得額354万円

所得税を計算

課税所得額354万円は累進課税の表で見ると、税率20%、控除額が42万7,250円です。

課税所得額354万円 × 税率20% - 控除額42万7,250円 = 所得税28万500円

所得税は28万500円です。

給与所得のようにすでに源泉徴収されている分を、ここで計算した所得税から差し引いた金額を支払います。源泉徴収分を差し引く場合は源泉徴収票を添えておくようにしましょう。

5.復興特別所得税と住民税を計算する

所得税を計算したら、最後に復興特別所得税と住民税を計算します。

復興特別所得税

復興所得税は「所得税 × 2.1%」です。

28万500円 × 2.1% = 復興特別所得税5,890円

所得税と復興特別所得税を合わせて、所得税のトータルは28万6,390円になります。

住民税

住民税は控除額が異なるため、控除額を再計算する必要があります。

社会保険料28万円、生命保険料控除2万5,000円、扶養控除33万円、基礎控除33万円で控除額は96万5,000円です。所得税で計算したように、所得額から控除額を引いて課税所得額を算出します。

給与所得362万円 + 海外FX所得100万円 = 所得額462万円

所得額462万円 - 控除額96万5,000円 = 住民税の課税所得額365万5,000円

調整控除額

人的控除額の差11万5,000円 - (365万5,000円-200万円)× 5% = マイナスになるので2,500円

調整控除額は2500円です。

住民税の計算

36万5,000円 × 10% + 5,000円(均等割り) - 2,500円 = 住民税35万9,000円

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以上のような流れで、海外FXで一定以上の収入があった場合には所得税、住民税を計算して確定申告を行います。ちなみに、国内FXの税金はどのように計算していくのか比較していきましょう。

国内FXの税金を計算する手順と計算例

国内FXの税金を計算する流れは以下のようになります。

  1. 国内FXの所得額を計算する
  2. その他の所得額を計算する
  3. FXの税金を分離課税で個別に計算する

国内FXは申告分離課税となりFXの利益のみを個別で計算しますので、給与所得者で他に雑所得がないのであれば税金の計算は至って簡単です。

では、国内FXの税金の計算方法を見ていきましょう。

1.国内FXの所得額を計算する

国内FX業者の場合は、年間取引報告書がそれぞれの会員用サイトから取得できるようになっています。

年間取引報告書にて1年間のトータルの損益状況が一目で確認できますので、税金の対象になる利益かどうかを概ねで判断できます。必要経費を引いたFXの所得額が、給与所得者で20万円以上、それ以外のケースだと総所得額が38万円以上を超えると税金がかかります。

FXの利益 - 必要経費 = FXの所得額

2.その他副業などの所得額を計算する

雑所得がネットオークションやその他副業などである方は、雑所得のトータルがFXの利益も含めて20万円をこえると税金の対象です。その他の雑所得の所得額を合わせて20万円を超えるかどうかを確認しておきます。

先物取引にかかる雑所得はまとめて計算

国内FXの所得は、先物取引にかかる雑所得となり、その他の雑所得や給与所得とは分けて税金を計算します。

バイナリ―オプションや株価指数、CFDなどの先物取引をしている方は、FXの所得と合算して税金を計算します。

3.FXの税金を分離課税で計算する

国内FXの税金は、先物取引にかかる雑所得となり、一律で20.315%の税率にて計算します。

会社員の場合の計算例
  • FXの利益120万円
  • 必要経費20万円
FX所得額を計算

FXの利益120万円 - 必要経費20万円 = FX所得額100万円

もし、ここで他にも先物取引の利益がある場合は合算して所得額を算出します。

税率20.315%で税金を計算

国内FXの税率20.315%には、

  • 住民税5%
  • 復興特別所得税0.315%

が含まれています。

FX所得額100万円 × 20.315% = FXの税金20万3,150円

給与所得やその他の雑所得は総合課税にて、累計税率にてFXの税金とは分けて計算します。

FXの税金だけで見た場合、海外FXだと所得税と住民税で30%以上となる可能性が大きいです。ハイレバレッジにて有利な取引で稼げる分、税金の計算にも手間がかかり、税率が高くなりがちなのがデメリットだといえるでしょう。

※総所得が200万円、300万円以下となる方は海外FXの方が税金は安くできます。

海外FXで損益繰越はできる?

海外FXで損益繰越はできる?

海外FXの税金が国内FXの税金と大きく異なるのは、損益繰越や損益通算の仕組みです。

海外FXでは、損益繰越はできませんが複数の海外FX口座やその他の雑所得との損益通算は可能です。国内FXでは、3年間の損益繰越は可能ですが、損益通算は先物取引のみで可能となります。

では、ここで改めて損益繰越、損益通算とは何なのかを見ておきましょう。

損益繰越・損益通算とは

損益繰越とは

本来、FXの損益は申告の必要がないのですが、損益を申告しておくことで翌年以降に繰越しできる制度のことをいいます。国内FXでは3年間に渡って損益繰越が可能です。申告していない損益は繰り越すことができません。

損益通算とは

FXの損失額をその他の所得から差し引くことができる制度のことをいいます。国内FXでは先物取引商品の損益通算、海外FXではその他の海外FX業者との損益通算ができます。

海外FXの損益繰越しと損益通算

損益繰越しはできない

国内FXの税金に慣れている方は、FXの損益は繰越できるとの認識があります。そこで、海外FXでも損益繰越できると思ってしまうのですが、海外FXでは損益繰越はできません。ですから、海外FXで損失があった時は確定申告は不要です。

どんなに損失額が大きかったとしても、来年のFX所得は全くのゼロから計算しなければならないのです。海外FXで損失を出した時には、翌年の節税につながらないのがデメリットだといえます。

損益通算は同じ総合課税の所得であれば可能
海外FXの損益は国内FXとの損益通算はできないので注意しましょう。

同じFXであっても、海外FXは総合課税の雑所得、国内FXは先物取引にかかる雑所得に区分され申告分離課税となっていて税区分が異なります。個別で計算しなければなりません。

複数の海外FX口座や、総合課税の雑所得であれば損益通算して所得を相殺することは可能です。副業として、海外FX以外にもアフィリエイトやオークションなどの雑所得がある場合は総合課税でマイナス額を計上することができます。

国内FXの損益繰越と損益通算

3年間の損益繰越ができる

国内FXの損益は3年間繰り越してマイナス額を計上することができます。

ただし、確定申告にてマイナス額を申告していることが条件となります。従って、国内FXの損益は確定申告は不要ですが、翌年以降の節税に役立つため、FX所得損益額が大きければ大きいほど確定申告をしておいた方が良いといえます。

損益通算は先物取引全般

国内FXの税金は、先物取引にかかる雑所得に区分されています。国内FX以外でも先物取引に該当する金融商品であれば一緒に合算して計上することができます。バイナリーオプションや原油や金などの商品先物取引、日経225などのCFDと損益通算することができます。

また、先物取引におけるマイナス額は国内FX以外の商品であっても、3年間の繰越・通算が可能です。

海外FXでは損益繰越ができないかわりに、その他総合課税の雑所得との通算が可能となり、海外FX以外で雑所得がある場合は節税に活用できます。国内FXは3年間の損益繰越ができるかわりに、先物商品以外では損益通算できません。

もちろん、損失を出さないことが一番ではありますが、それぞれの状況によっては海外FXの方が便利だったり、国内FXの方が便利だったりと異なるでしょう。

海外FXの節税方法は?

海外FXの節税方法は?

それでは最後に海外FXの節税方法について解説していきます。

FXの課税所得額は、FXの利益から必要経費を差し引いた金額です。

海外FXの代表的な節税方法は、必要経費をできるだけ多く計上することです。必要経費が大きくなれば、それだけ所得額を少なくできます。そこで、最初に必要経費とできるものにはどんなものがあるのかを解説していきます。

FXの必要経費にできるもの

必要経費は、FX取引にて必要となる物やサービスにかかった費用のことをいいます。原則として、それがないとFX取引ができない・勝てないと思わわるものが対象です。

意外と思いがけずに経費となるものは多く、それぞれのFX取引のスタンスによってはかなり多くのものを経費として計上できます。

必要経費にできるもの一覧

経費にする際のポイントは、その経費がFX取引において欠かせない出費となることを説明できるかどうかです。

FXの書籍、有料のメルマガ・サイト・ソフトなど

まず一般的に経費としても最も認められやすいのが、FX関連の本やメルマガなどです。基礎知識を学んだり、チャート分析やトレード手法を身に付けるために、本を購入したり有料のメルマガに登録したりする投資家は多いと思います。自動売買サイトやソフトを有料で利用するケースもあるでしょう。

それらはFX取引をするために必要なものとして経費計上できます。

経済新聞、経済情報紙、衛星放送、

新聞は一般の読売新聞や朝日新聞などは経費とは認めらません。なぜならFX取引をしてない一般の人たちも読む新聞だからです。

日経新聞、Nikkei Asian Review、Financial Times、ウォールストリートジャーナルなど、明らかにFX取引に必要だと思われる新聞が経費の対象となります。新聞以外でも、FX攻略、日経マネー、金融ジャーナルなどの月刊紙なども経費にできます。

他にも、金融関連や経済ニュースメディアの衛星放送チャンネルなど、FXに関連したテーマであれば必要経費となります。

FXセミナー、勉強会、イベント

FXセミナーや勉強会、イベントなどの参加料、参加するための交通費・宿泊費も必要経費になります。

セミナーや勉強会の延長にて、懇談会や食事会が開催されることもあります。その場合は、セミナーや勉強会の食事会であることが証明できれば食事会の費用も経費となります。

FXの勉強会であっても、個人的な会合での食事代や交通費は経費にできません。FXを勉強するために作られたサークルやグループなど名目が証明できる会合は経費にできます。

口座開設、有料口座、手数料、問い合わせ

口座開設の際に必要となる、郵送代、コピー代なども必要経費ですよね。

あと、海外FXで多いのがECN口座などで手数料が発生する場合や、VPSサーバーを有料で利用する場合など。こられの費用も必要経費として計上できるのです。また、問い合わせに電話代を使った場合、電話代も必要経費です。

通信費、プロバイダー、PC、モバイル

FX取引に必要な通信費、プロバイダー料金は、プライベートとの併用と見なされるため一部を費用にできます。利用頻度に合わせて、20%、50%ぐらいを経費にしても問題ありません。プライベート用と2回線ある場合はもちろん全額を必要経費にできます。

PCやモバイルもFX用に購入した場合は必要経費となります。プライベート用と分けていることが証明できれば、全額経費にできます。プライベートと併用で使う場合はその一部を経費とします。

家賃、光熱費

FX取引用のスペースや部屋を確保している場合は、家賃や光熱費の1部を必要経費として計上できます。専用スペースの写真をとったり、年間取引書などで取引回数が多く、FX取引に多くの時間を使っていることを証明する必要があります。

利用頻度が少なく、利益も少額となる場合は、家賃や光熱費は1部でも経費にしない方が税務署への印象は良いでしょう。

必要経費計の注意点

支払った費用を必要経費にするためには、レシートや領収書、金融機関の利用明細など、支払ったことを署名する書類が必要となります。普段から何かを支払う時は領収書をもらうクセをつけておきましょう。

また、必要経費にする際には、それが社会通念上で経費と呼べるかどうかを客観的に判断することが大切です。あくまでも事実に基づいていることが重要で、無理な経費計上は税務署の疑惑を招くことになるので注意して下さい。

海外FXその他の節税方法

海外FXのその他の節税方法もいくつかご紹介しておきましょう。

配偶者や家族にFX口座を振り分ける

配偶者や子供、祖父母など家族とFX口座を振り分ける方法があります。

本人の名義で3つのFX口座があるとすれば、その3つの口座で得た収入は1人分の所得です。それを3人の名義にすれば所得を3分割できます。学生や主婦の場合、FXの税金がかかるのは38万円からですので、所得の一部を非課税にできます。また、FX所得を分割することで、税金はかかったとしても累進課税にて、税率を下げていけます。

単に名義を借りるだけとなれば、それは脱税行為につながってしまいます。あくまでも建前は家族にトレードをしてもらうことが前提です。

法人化する方法もある

給与所得がない方の場合、FX投資を事業として法人化する方法もあります。法人化すれば、所得税ではなく「法人税」に切り替わりますので、奥さんや兄弟を役員にするなど、多様な節税対策が可能となります。

法人の事業所得は9年間の損益繰越・通算可能できることや、経費の幅が広くなる点がメリットです。

法人設立には法人登記に20万円近くの費用がかかったり、決算や申告に手間がかかったりと容易ではありません。地方税は赤字の場合でも発生するため、それなりに利益を大きく出している場合に限られる節税方法でしょう。
他にも・・・

国内FXの節税方法との違い

国内FXでも節税のポイントは上記で解説した海外FXの節税方法とほぼ同じですが、海外FXの場合は所得に応じて税率が変わる点に注意すべきです。

例えば、所得が330万円~695万円までは税率20%ですが695万円を超えると税率は23%、900万円を超えると30%と切り上がっていきます。税率がちょうど切り替わる額面を意識しておく必要があります。

ただ、節税に気を取られすぎると、せっかくのハイレバレッジの海外FXでも思い切り稼げなくなってしまいます。どこかのタイミングで法人化を検討するか、若しくは、税金でとられても十分といえるぐらいに利益を伸ばしていくことが海外FXの税金と上手に付き合っていくコツです。

まとめ

まとめ

今回は海外FXの税金について、国内FXの税金と比較しながら解説していきました。

海外FXの税金は

  • 一定以上の利益が出ると支払う義務がある
  • 給与所得者で20万円以上から税金がかかる
  • 個人事業主は学生・主婦は総所得が38万円以上から
  • 総合課税の雑所得として計算
  • 税率は総所得額に応じて累進税率が適用される
  • 所得が大きなるほど税率は高くなる
  • 損益繰越はできない

など、国内FXとは税制の仕組みや税率が大きく異なってきます。

海外FXの税金を理解するポイントは、まず所得税の種類にはどのようなものがあるのか、そして総合課税と分離課税の違いを抑えておくことです。海外FXの税制の仕組みがわかれば、それなりに自分に合った適切な節税方法も見えてきます。

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誰もが払わずに済むならと願う税金ですが、国内に拠点を持つ以上は避けることができない支出です。脱税は違法となるうえ、ペナルティーのリスクが高すぎます。少しでも支払う税金を抑えていけるよう、今回の記事を参考にしてみて下さい。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人投資家、ライター、アナリスト。海外メディアを駆使した市場リサーチが強み。副業トレーダーを経て、フリーランスとして独立。 株式投資、FX、金プラチナ、債券、外貨預金、ETF・投資信託、不動産などの分散投資を得意とする。